TotalEnergies、北米太陽光発電ポートフォリオの50%をKKRに売却

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フランスのエネルギー大手TotalEnergiesは9月29日、北米で保有する1.4GW(ギガワット)規模の太陽光発電ポートフォリオの50%を、米投資会社KKRが運用する保険関連ファンドに売却すると発表した。企業価値ベースで12.5億ドルと評価される今回の取引により、TotalEnergiesは銀行借り換えも含めて合計9.5億ドルを調達する。

売却対象となるのは、米国を中心に展開する合計1.3GWの大規模太陽光発電施設6カ所と、140MW(メガワット)規模の分散型発電施設41カ所。これらの施設で生産される電力は、すでに第三者への売却契約が締結されているか、TotalEnergiesが販売を手掛ける予定となっている。TotalEnergiesは残り50%の持分を保持し、取引完了後も引き続き施設の運営を担当する。

TotalEnergiesのガス・再生可能エネルギー・電力部門を統括するステファン・ミシェル社長は「規制緩和が進む北米の電力市場は、当社の統合型ビジネスモデルを拡大する上で重要な市場。今回の取引は、運転開始した資産の価値を顕在化させ、統合電力事業の収益性をさらに強化する」と戦略的意義を強調した。一方、KKRのセシリオ・ベラスコ マネージング・ディレクターは「TotalEnergiesは世界的な再生可能エネルギー業界のリーダーであり、同社との合弁事業設立を非常に喜ばしく思う。当社はこれまでインフラ投資プラットフォームを通じて、エネルギー転換関連に230億ドル以上を投資してきた」と述べた。

TotalEnergiesは、太陽光、陸上・洋上風力などの再生可能エネルギーと、ガス火力発電や蓄電池などの柔軟性の高い資産を組み合わせた競争力のあるポートフォリオ構築を進めている。同社の統合電力事業では12%の収益性目標を設定しており、再生可能エネルギー資産が商業運転を開始しリスクが低減された段階で最大50%を売却することで、資産価値の最大化とリスク管理の両立を図る戦略を採用している。6月末時点で30GW以上の再生可能エネルギー発電容量を保有する同社は、2025年末までに35GW、2030年までに年間100TWh(テラワット時)以上の電力生産を目指している。

再生可能エネルギー市場では、開発段階から運営段階への移行時に部分売却を行うビジネスモデルが一般化しつつある。国際エネルギー機関(IEA)によると、2024年の世界の再生可能エネルギー新規導入量は過去最高の507GWに達する見込みで、太陽光発電がその約8割を占める。特に米国では、インフレ削減法(IRA)による税制優遇措置により、太陽光発電への投資が加速している。今回のような大規模な資産売却は、エネルギー企業が開発と運営の両面で効率的に事業を展開し、エネルギー転換を加速させる重要な手法として注目されている。

【参照URL】Renewables: TotalEnergies Divests 50% of 1.4 GW Solar Portfolio in North America

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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