アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)は9月22日、有害物質規制法(TSCA)に基づき、市場に流通している既存化学物質のリスク評価プロセスを改訂するための規則案を発表した。今回の提案は、評価の効率と効果を高め、人の健康と環境保護を強化することを目的としている。
EPAのリー・ゼルディン長官は、「本日の提案は、法律と科学に基づいた、明確で予測可能、かつ常識的なアプローチを示すものだ」と述べ、人の健康と環境を保護しつつ、製造業や産業界の成長を可能にするという姿勢を示した。この改訂案は、2024年にバイデン政権下で制定された「TSCAに基づく化学物質リスク評価手続き(2024年リスク評価フレームワーク規則)」に対する変更点を含むものだ。
最も大きな変更点の一つは、リスク決定の単位だ。これまでの化学物質全体に対する単一のリスク決定ではなく、評価範囲内の個々の「使用条件」ごとに不合理なリスクがあるかどうかの決定をEPAに義務付ける。これにより、特定の用途におけるリスクをより正確に評価し、管理することが可能になる。また、リスク評価を行う際に、個人用保護具(PPE)や産業上の管理策といった職業的ばく露管理をどのように考慮するかについても明確化される。その他、評価範囲を決定する際のEPAの裁量権の明確化や、科学的基準との整合性を図るための定義の見直しなども盛り込まれた。
この規則案は、化学物質の製造業者や輸入業者にとって、規制の予測可能性を高めることにつながる。EPAは今後、連邦官報での公示を経て、この規則案に対するパブリックコメントを45日間受け付ける予定だ。
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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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