国連グローバル・コンパクト(UNGC)は9月25日、国連総会ハイレベルウィークに合わせて、「持続可能な調達のための連合(Coalition for Sustainable Procurement)」の発足を発表した。この連合は、調達とサプライチェーンに持続可能性を世界規模で組み込むことを目的とした、官民連携の新たな取り組みだ。
この連合は、企業の購買力を気候変動対策、自然保護、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、そして強靭な成長のための手段へと転換させることを目指す。創設メンバーには、日本の江崎グリコ株式会社をはじめ、シュナイダーエレクトリックSE、KPMG、BBVAなど、さまざまな業界から15の企業・団体が名を連ねた。この取り組みは、責任ある調達の規模拡大、サプライヤーの脱炭素化とデューデリジェンスの加速、そして中小企業のグローバルなバリューチェーンへの参画を促すものだ。
ニューヨークのクライスラービルで開催された初会合では、企業の最高調達責任者(CPO)やサステナビリティ責任者、各国の閣僚、政策立案者が集まり、官民対話が行われた。参加者は、規制の枠組み整備だけでなく、政府調達において持続可能性基準を統合することで、民間セクターが迅速かつ大規模に追随できる市場形成の規範を確立するなど、公共セクターが果たすべき極めて重要な役割を強調した。
連合は発足と同時に、初の出版物『Procurement: A Catalyst for Sustainable Growth and Resilience』を発行した。この報告書は、持続可能な調達の現状を分析し、課題や新たな傾向を特定するとともに、実践的なフレームワークやツール、事例をまとめている。企業がESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を購買決定に統合し、サプライヤーとのエンゲージメントを強化し、より強靭で透明性の高いサプライチェーンを構築するのを支援する内容だ。
今後、連合は官民連携プラットフォームの提供、共通の方向性と実践的なガイダンスの共有、そして対話を行動に移すためのイニシアチブの創出に重点を置いて活動する。多様な関係者が共通の解決策のもとに集うことで、期待値の調和、取引コストの削減、そして強靭で公平なサプライチェーンへの投資の流れを加速させることが期待される。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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