一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は8月1日、社会課題「機会格差」の根本的・構造的解決を目指すシステムチェンジ投資の実践として、地方で女性のキャリア形成支援サービスを提供する株式会社はたらクリエイト(長野県上田市)を協業パートナーとして決定、約6000万円を出資すると公表した。
SIIFでは、インパクト投資の価値をより深め、社会と環境の課題を根本的・構造的な解決に貢献する投資のあり方として、欧米諸国で注目され始めている「システムチェンジ投資」を実践するシステムチェンジコレクティブ事業を手掛けている。
同事業では、機会格差、地域活性化における課題構造分析を行い、解決を目指す課題をそれぞれ「世代をまたいだ経済格差の拡大と固定化」、「地域の経済衰退とコミュニティ消失」と位置付け、2023年10月に協働パートナーの公募を開始。約90社の応募に対して、書類選考及びオンラインによるプレゼン、現地視察も含めた面談を複数回実施した。
結果、女性のキャリア断絶を解消することを目指し、パートタイマーから正社員雇用に繋がる組織づくりと、地方でキャリアを再構築するための事業開発に取り組むはたらクリエイト社を選んだ。出資金額は5997万6千円。
同社の決定理由として、SIIFは「地方で女性が出産や育児・介護などのライフイベントでキャリア構築を断念せざるを得ない状況に追い込まれ、賃金格差の中に置かれるという課題の根本的な解決のため、あえて正社員雇用に繋がるキャリア形成にこだわり、中長期的な就労能力の向上が見込めるIT領域などのスキル構築に人的投資を行う事業モデルに社会的価値がある」と判断した。さらに、同社は上田エリア以外の事業者にも同じモデルの導入を支援したい意向があることから「全国の課題当事者に変革をもたらす起点となる可能性」を考慮したという。
同事業で、SIIFは、社会・環境課題の構造的な解決(システムチェンジ)を志向する投資家として、インパクト投資で確立しつつあるインパクト測定・マネジメントの実施に加え、課題の構造分析の深化と、課題解決のための変革仮説(Theory of Change:ToC)の改訂を進めている。
今後は、協働パートナーとともに課題の根治に必要なアクションを検討・実施するとともに、さらなる投資活動を通じて協働パートナーのネットワーク構築を進め、システムレベルの変化に向けた取り組みの実現を目指す。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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