責任投資原則原則(PRI)は10月4日、東京都内で開催中の年次カンフェレンス「PRI in Person」で開催された本会議「気候と自然」において、新しい環境管理のイニシアチブ「スプリング(Spring)」を発表した。スプリングは、投資コミュニティが2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させるという目標のための最大限の貢献を目指し、まずは生物多様性の損失の原因である森林喪失と土地劣化にフォーカスするという内容。投資家による早急な行動の必要性を強調し、事業経営、サプライチェーン管理、責任ある政治的エンゲージメントの実践に関して、企業への高い期待を提言している。
PRIはスプリングの目的を「昆明・モントリオール生物多様性枠組」のゴールとターゲットに沿ったものとしており、スプリングが発展することで、将来的に生物多様性の損失の他の要因へも関心が広がると想定する。初期段階では、生物多様性枠組に沿った体系的な政策に重点を置くことで、将来の森林喪失や土地の劣化のリスクが高い地域における、実社会における成果を目指す。
企業のエンゲージメントでは、自然や生物多様性に関連する課題について、企業が政策立案者にエンゲージメントする際の責任ある行動の必要性を強調する。対象企業は今後、選定予定。
PRIチーフ・インベスター・イニシアチブ&コラボレーション・オフィサーのタムシン・バラード氏は、スプリングの意義について「気候リスクと自然リスクは財務リスクであり、投資家はその両方を考慮しなければならない。協働のメリットを生かし、スチュワードシップ活動をまとめ、これらのリスクに対処することで、投資家はフィデューシャリー・デューティーに従い、将来にわたって長期的なリスク調整後リターンを実現するための、最善の立場に立つことができる」として賛同を呼び掛けた。
基調講演を行った小池百合子東京都知事は「私たちは今、時代の大きな転換点に差し掛かっている。気候危機、エネルギー危機、自然災害、国際情勢、健康、多様性の確保、こうした課題を乗り越え、持続可能な成長につなげていくことが求められている」と提起。そのうえで「金融には、社会課題の解決に道筋をつけ、人々の能力を効果的に束ねていく大きな力がある」と金融の役割に期待を寄せた。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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