ロシアによるウクライナへの武力侵攻は2024年2月、発生から2年が経過した。日本政府は2022年2月にウクライナ避難民の受け入れを開始、2023年7月時点で2119名が在留避難民として生活する。2021年8月には、アフガニスタンでイスラム主義勢力タリバンが実権を握った結果、多くの国民が難民として国外に流出。2022年には日本でも114名が難民認定されたと報道されている。
難民の人数が増えるにつれ、さまざまな問題も浮き彫りになってきた。フィランソロピー(社会貢献活動)アドバイザリー事業を展開するフィランソロピー・アドバイザーズ株式会社が2023年12月に公表した調査サポート「日本における難民の課題とオルタナティブな支援の形」は、紛争や迫害を逃れ、庇護を求めて来日した外国人が難民として生きていく上で直面する問題や課題を取り上げ、解決の糸口を分析している。

フィランソロピー・アドバイザーズ株式会社 調査レポート「日本における難民の課題とオルタナティブな支援の形」
レポートのテーマに難民問題を取り上げた理由として、同社は「個人的な問題意識と社会的な機運の高まり」を挙げる。ひとつは、代表取締役社長の小柴優子氏が、故郷である茨城県牛久市の東日本入国管理センターの存在を知ったこと。日本に家族がいることなどを理由に強制送還を拒否する収容者が多く、結果的に長期収容が問題となっている。収容中の健康悪化や暴力行為なども報告され、小柴氏も「取り組まなければ」と決心したという。
「ここ数年で難民問題に対する社会的気運は大きく高まった。一方で、多くの人々にとって難民問題は自分の生活とはかけ離れたもので、どのようにアプローチしたらいいか分からない人もいるはず」と小柴氏。これから難民問題に対するフィランソロピー活動に取り組みたい人がどのように支援をすべきか情報提供をするため、レポートを作成した。
目次は(1)はじめに(2)難民について(3)難民当事者が直面する課題(4)各課題に取り組む団体(5)課題解決のためのレバレッジポイント(6)支援先のご提案レポートの6章。1、2章では日本における難民問題の概況を紹介。3、4章では、難民当事者が日本で生活するにあたって直面する課題と、それぞれの課題に対して取り組む法人を紹介している。
5章では日本における難民問題を解決するために重点的に取り組むべき課題(レバレッジポイント)を分析した上で、6章では同社の支援推奨団体「ウェルジー」について団体情報、活動内容、今後の資金計画などについてまとめた。
レポートの公表にあたり、同社は「難民認定申請者が、安定的・長期的に安心して生活する環境を整えるためには、日本において『人材』として就労による活躍の道を切り拓き、キャリアを築ける環境を創ることが有効」と提唱。難民に特化したキャリア育成と就労サポートに取り組むウェルジーへの資金支援を呼び掛けている。
【参照記事】フィランソロピー・アドバイザーズ株式会社 調査レポート「日本における難民の課題とオルタナティブな支援の形」
【関連サイト】フィランソロピー・アドバイザーズ株式会社
【関連サイト】特定⾮営利活動法⼈ WELgee(ウェルジー)

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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