アイルランド北西部ドネゴール県のレタケニーで9月7日、電動車両(EV)や電動自転車(eバイク)を共有利用できる持続可能な交通拠点「ROBUST eMobility Hub」が正式に開設された。ドネゴール県議会、アトランティック工科大学(ATU)、トリニティ・カレッジ・ダブリン(TCD)、アイルランド電力供給委員会(ESB)、エンタープライズ・カー・クラブによる共同プロジェクトで、Justice Walsh Roadに設置された。
この施設では、電動車両2台、電動カーゴバイク1台、電動自転車4台を一般市民が1時間単位または1日単位で予約・利用できる。レタケニーのハブは、今年アイルランド全土で開設される4つの拠点の1つで、共有型で環境に配慮した交通手段の利用を促進し、CO2排出量削減と交通渋滞緩和を目指している。アイルランドは欧州でも化石燃料への依存度が高い国の一つとされており、持続可能エネルギー庁(SEAI)のデータによると、運輸部門は国内のCO2排出量の約20%を占めている。
開設式典には、チャーリー・マコナログ国務大臣をはじめ、地元議員らが出席した。マコナログ大臣は「国家持続可能モビリティ政策では、2030年までに徒歩・自転車・公共交通機関の利用を1日あたり50万回以上増やし、化石燃料車の走行距離を10%削減することを目標としている。そのためには、ガソリン車やディーゼル車の代替手段を提供することが重要だ」と述べた。ドネゴール県議会のポール・カニング議長は「このeハブは、レタケニーの住民と観光客の両方に、従量課金制の持続可能な移動手段を提供する。県内初の施設として、レタケニーの北西部戦略的地域センターとしての発展を支援する」と期待を示した。
プロジェクトを主導するトリニティ・カレッジのブライアン・コールフィールド教授は「4つのテストベッドで、これらのハブが自家用車所有の代替手段となり得るかを検証し、共有モビリティ利用による排出量削減、コスト削減、時間短縮効果を測定する」と研究の意義を説明。ESBのイノベーション責任者ドナル・フェラン氏は「2040年までのネットゼロ戦略達成に向け、共有EVを公共交通機関の一形態として確立する実証実験だ」と位置づけた。アイルランドは2050年までのカーボンニュートラル達成を法制化しており、運輸部門の脱炭素化は喫緊の課題となっている。今回の取り組みは、地方都市における持続可能な交通システム構築のモデルケースとして、他地域への展開が期待される。
【参照サイト】Facebook – Charlie McConalogue

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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