JPX、「ESG情報の報告に関する企業向けモデルガイダンス」の日本語版を公表

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日本取引所グループ(JPX)は6月3日、Sustainable Stock Exchanges Initiative(SSEイニシアティブ)が策定する「ESG情報の報告に関する企業向けモデルガイダンス」の日本語訳を公開した。「ESG(環境、社会、ガバナンス)とは?」という概念から「ESG関連データを収集・管理する強固な内部プロセス」などの総論を13ページでコンパクトに解説している。

SSEイニシアティブは国連貿易開発会議(UNCTAD)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)、責任投資原則(PRI)主導で2009年に創設されたネットワーク。証券取引所が投資家、規制当局、企業と協働しながら、サステナブル投資の促進、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する企業の透明性や企業の長期的なパフォーマンス向上のためにどのような取り組みを行うべきかを(証券取引所同士で)自主的に議論し、学ぶ場と位置付けられている。

JPXは17年12月に取引所として68番目に参加、18年7月にサステナビリティ推進本部を設置し、サステナビリティ関連の取組みを推進してきた。「企業のサステナビリティや中長期的な企業価値を評価するうえで、ESGの要素を含めたサステナビリティ課題への対応が重要という認識が高まってきた」として、上場会社がESG開示を検討するにあたって参考となるよう、モデルガイダンスの日本語版を策定した。

サステナビリティとESGは近い意味で使われることが多く、区別が難しいという声もある。報告書では「どちらの用語も、事業戦略を実行して価値を創造するための企業の能力に影響し得る広範なESG課題を包含している」とみなす。続いて「なぜESG課題を報告するのか?」と提起し、ESG課題を投資プロセスに組み込んでいるアセットマネジャーやアセットオーナーによって運用される資産の割合が世界の運用資産において拡大している現状を挙げる。

さらに投資家にとってのESG情報は「より包括的な観点から企業を捉えることで企業経営の質に関する知見をもたらし、将来の業績予測を助ける」とする。「多くの投資家にとって、関連性のあるESG要素を効果的に分析することは、投資価値の評価において不可欠。投資家は、ESG関連のリスクや機会をいかに管理しているかを明らかにするよう企業に求めている」と、積極的な情報開示を促す。

【参照記事】Sustainable Stock Exchanges (SSE) Initiatives 「ESG情報の報告に関する企業向けモデルガイダンス」(日本語版) の公表について

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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