JPXと株式会社日本取引所グループ(JPX)と金融情報サービスの株式会社QUICKは「JPX-QUICK ESG課題解説集~情報開示推進のために~」を共同で制作、3月30日からウェブサイトで公表している。昨年3月にJPX・東証が公表した「ESG情報開示実践ハンドブック」に続く実践書の第二弾。ESG 課題について、気候変動、汚染予防、資源循環、水、生物多様性、人権の尊重、雇用・労働慣行、コーポレート・ガバナンス、ESG リスクマネジメント、腐敗防止の10テーマについて解説。非財務情報開示の前提となるESG指標で、特に、日本企業の置かれた現状を踏まえつつ、グローバルにも認識されている各ESG課題が、各企業の企業価値にどのような影響を及ぼす可能性があるのかという視点から解説することに重点を置いた。
特にE、S、Gそれぞれの代表的な課題を、①企業を取り巻く主要な課題の説明、意義や内容②当該課題に関連して国内企業の置かれた状況、文脈③当該課題が価値創造に及ぼす影響(ビジネスモデル、戦略、業績へのリスクと機会)④リスクと機会の評価やマネジメントに使用する指標の例示に細分化。読者が ESG課題を理解し、解決や開示の充実化に取り組む一助とする。
取り上げた 10テーマは、個々の企業が国内外のステークホルダーと関わる上で課題として認識し、解決に向けてどのように取り組むか、しっかりしたビジョンを有することが求められる分野。「ESG課題は、例えば SDGs が17のゴール、169のターゲットで構成されているように10 テーマで語りつくすことはできない」と同社。課題解説集では厳選された 10テーマを起点に、複数の ESG関連課題の解説も盛り込み、ESG課題の全体像を把握することができるようにまとめられている。
例えば、資源循環に関する項目では、廃棄物管理、紛争鉱物などの説明も含まれており、言葉の意味、問題の背景、そしてそれぞれの ESG テーマや課題に関する相互関係も明示し、そのテーマの全体像を理解することができる。同時に、各説明では、背景となる歴史的経緯、制度、法律、報告書なども示しており、それらを起点にさらに調べることも可能だ。
ESG 課題への対応と情報開示に取り組む企業が期待できるメリットとして、投資家や銀行から円滑に資金調達が可能になるとともに、資金調達手段や投資家の多様化、新たなビジネス機会の創出、企業の信用維持・向上、人材確保などがある。
序文で、野村資本市場研究所野村サステナビリティ研究センター長の江夏あかね氏は「ESG課題は多岐にわたると同時に、それぞれが相互に関連しあっている。本書は各分野に精通した専門家と協同して、課題相互の関連性にも配慮し、できるだけ分かりやすい解説を試みている。ESG課題の解決と情報開示の推進に向けた一助として活用して欲しい」としている。
【参照記事】JPX-QUICK ESG課題解説集~情報開示推進のために~

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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