独立系化学会社のLyondellBasellと中国Genox Recyclingの合弁会社であるGenox LyondellBasell New Material(GXLYB)は7月17日、同社の再生ポリプロピレン(rPP)および再生高密度ポリエチレン(rHDPE)の製造プロセスについて、米国食品医薬品局(FDA)から異議なし通知(NOL)を取得したと発表した。NOLは4月28日と5月6日にそれぞれ発行された。これにより、同社の機械的リサイクルプロセスが米国の厳格な安全基準を満たしていることが証明され、化粧品容器など食品接触用途への展開が可能となった。
今回のFDA認証取得により、GXLYBは廃プラスチックを原料とする「Circulen Recover」ブランドの再生樹脂を、パーソナルケアや化粧品産業のボトルやキャップなどの用途に供給できるようになる。これまで再生プラスチックの食品接触用途への使用は、安全性の観点から制限されることが多かったが、FDA認証により高品質な再生材料として幅広い市場への展開が期待される。同製品は射出成形、ブロー成形、押出成形などの加工方法に対応し、消費財、工業製品、家庭用品、包装材料など多様な分野での活用が見込まれる。
プラスチックリサイクル市場は世界的に拡大を続けており、調査会社Mordor Intelligenceによれば、2024年の市場規模は約590億ドルで、2029年には約850億ドルに達すると予測されている。特に食品包装分野では、ユニリーバやネスレなどの大手ブランドが2025年から2030年にかけて、包装における再生プラスチックの使用率を25〜50%に引き上げる目標を掲げており、食品接触用途に対応したFDA認証済みの高品質な再生樹脂へのニーズが高まっている。
日本国内でも、2022年に施行された「プラスチック資源循環促進法」を契機として企業による再生材の活用が進展している。環境省によると、2023年の国内プラスチックリサイクル率は86.0%に達したが、この数値には熱回収(サーマルリサイクル)が含まれており、素材として再利用する「マテリアルリサイクル」の割合は約23.7%にとどまっている。
LyondellBasellのポリオレフィン中国・合弁事業管理担当副社長でGXLYB取締役会長のFu Limin氏は「これら2つの異議なし通知は、当社のリサイクル技術と製品に対する強力な承認です」と述べ、中国市場での循環型ポリマー製品の拡大戦略の一環であることを強調した。また、同社の原料・機械的リサイクルEMEAI担当副社長のMatthijs M. Beijk氏は「この成果は持続可能性への世界的なコミットメントを反映しており、高品質な再生材料の世界市場での採用を引き続き推進していく」と語った。今回の認証取得により、プラスチック循環経済の実現に向けた企業の取り組みがさらに加速することが期待される。
【参照記事】LyondellBasell JV GXLYB Receives FDA No Objection Letter for Recycled PP and HDPE

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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