インパクト投資に対する金融市場関係者と行政の理解を深め、国内外の社会課題解決に向けたインパクト投資への取り組みの意義と課題を議論する「第1回インパクト投資に関する勉強会」が6月18日、都内で開催された。金融庁とGlobal Steering Group for Impact Investment(GSG)国内諮問委員会の共催。一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)が事務局として運営を担当した。金融関係者、経団連や東京証券取引所といった市場関係者、幅広い企業から構成される委員、オブザーバー、事務局関係者を含め90人を越える参加(金融庁からオンライン配信)した。
課題意識として、次の点が確認された。①G20大阪会合を契機に、SDGs達成に向けた取り組みの推進にあたり民間資金の動員は不可欠とされ、特にインパクト投資の活用に内外の期待が高まり、ESG投資の次の段階としてインパクト投資に強い関心が寄せられている。②特に、我が国においてインパクト投資を考えることは、地方創生という社会課題解決に関する地域金融機関の取り組みを考えるうえで不可欠なほか、メガバンク・証券会社など大手金融機関が、投資家(機関・個人)の期待に応えた金融商品を開発するという金融の国際競争力という観点からも重要。
一方、③インパクト投資については、その定義、インパクトの評価、インパクトとリターンの相関関係、適切な退出手段の確保、アセットクラスとしての位置づけなどの観点から課題も多い。④その健全な発展を推進するにあたっては、市場関係者および官民の関係機関の理解を深め、必要があれば適切な市場整備を含めた官民の取り組みが不可欠――という4点。以上を踏まえ、勉強会では、主として投資家としての金融機関にとってのインパクト投資およびそれを取り巻くエコシステム構築の在り方について焦点をあてて議論を行うことを共有した。
勉強会の目的は、インパクト投資についての金融市場関係者と行政・規制当局の理解を深め、国内外の社会課題解決に向けたインパクト投資への取り組みの意義と課題を明らかにし、我が国金融業界の持続的な発展に資する推進の在り方について議論すること。インパクト投資に係る国内エコシステムの構築を一次的な目的とするため、初めから提言ありきではないが、議論の状況に応じ、何らかのとりまとめを行うことも考えられるという。同日は「インパクトエコノミーの時代~社会的インパクト投資と寄付の最新動向~」、「インパクト投資の現状と今後への期待」、「インパクト投資をめぐる課題・論点の整理」の3項目を議事に進行した。
SIIFによると、意見交換では「インパクト投資の一定の定義がなされているにもかかわらず、なぜこれほど多くの人がインパクト投資の定義が重要と考えているのか、インパクトの考え方が多様な中、定義する意味、議論する意味があるのか。『意図』とは何なのか、といった点が議論された。また、インパクトの考慮をすることと、受託者責任の関係について議論が交わされた。2回目は8月開催予定。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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