サステナビリティ報告書のガイドラインを制定するグローバル・レポーティング・イニシアティブ(Global Reporting Initiative、以下GRI)と企業のサステナビリティに関する民間認証を行うB Labはこのほど、相互連携を発表した。同連携により、報告書作成および評価ツール活用の包括的な支援を可能にさせ、企業は持続可能な未来への貢献をさらに最適化できるとしている。
GRIスタンダードは、世界で最も広く採用されているサステナビリティの報告基準である。一方、米非営利団体B Labは、企業向け認証であるBインパクト・アセスメント(BIA)という、ステークホルダー(従業員・顧客、コミュニティ・環境)への影響を測定および管理するツールを提供する。すでに10万社の企業がBIAを利用している。
新しいレポート「GRIスタンダードとBIAの補完的利用と関連」では、BIAの影響領域とGRIのトピックと開示の間の相関関係を特定するためのマッピングツールが提供されている。これを利用すれば、企業は2つのアプローチがどのように関連付けられるかわかる。さらに、企業はGRIスタンダードに基づいたサステナビリティレポートとB Labのインパクトレポートを相互にさらに有効活用することが可能になる。
この2つのサービスの目的は元来異なるものであるが、企業のインパクトに対する認識と透明性を高めるという点で共通している。GRIスタンダードとBIAの客観的な判断指標を利用することで、企業はインパクトをどのように開示および管理するかについて、より包括的なアプローチを得られる。
GRIのスタンダード責任者であるBastian Buck氏は、「GRIとB Labは、企業がインパクトを深く理解することで企業の変化が可能になるという強い信念を共有しています。私たちの独自の強みを結集すれば、地球や社会に対するインパクトについて企業のコミュニケーションを効果的にすることができます。
BIAへの報告にGRIスタンダードを利用すれば、質の高い情報へのアクセスが増えるでしょう。これらの情報は、企業の持続可能性を高めるために重要な役割があります。BIAを完了した多くの企業は、サステナビリティ報告書にGRIも利用しています。この2つの紐づけられたサービスは、持続可能なビジネス慣行を推進し、必要条件を満たす報告書を効率的に作成することに役立ちます」と述べた。
B Labのスタンダード担当責任者Dan Osusky氏は、「相互に紐づけられた最高ランクの2つのフレームワークであるBIAとGRIスタンダードを使用して、企業はインパクトを管理・報告できるようになりました。この作業は重要で、企業が両方のツールを理解して効率的に使用できるようになります。包括的で公平で再生型経済というビジョンを達成するために、連携におけるさらなる事業機会を特定していきたいと思います」と述べた。
【参照記事】GRI and B Lab team up on impact management
※本記事は、世界のサーキュラーエコノミーが学べるメディア「Circular Economy Hub」GRIとB Labが相互連携。より包括的なインパクトの開示が可能により転載された記事です。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

最新記事 by HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム (全て見る)
- MAGシルバー、第4回年次サステナビリティレポート公開 安全性指標で3年連続改善 - 2025年7月1日
- タタ・スチール、2045年ネットゼロ目標達成へ サステナビリティ動画シリーズを開始 - 2025年7月1日
- インパクトスタートアップの8割超、インパクト投資に前向き。SIIFとISAが初の共同調査結果を公表 - 2025年6月30日
- 廃棄物焼却のEU ETS導入で最大3,200万トンのCO2削減、2万人超の雇用創出も―CE Delft調査 - 2025年6月30日
- NTTデータ、持続可能な経営推進で世界経済フォーラムに加盟 気候・自然・循環経済の3分野で協働 - 2025年6月30日