国連認定の炭素監査機関とChainlinkと提携し、透明性が高く信頼性の高いオンチェーンのカーボンクレジットを発行する「Coorest」とは?

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参照:Coorest

目次

  1. Coorestとは?
  2. Coorestの特徴は?
  3. Coorestの変遷と展望は?

Coorestとは?

「Coorest」はブロックチェーン上で透明性の高いカーボンクレジットの発行や販売ができるプラットフォームを運営するプロジェクトです。カーボンクレジットの自主炭素市場(VCM市場)における流動性と透明性を確保するためにブロックチェーンを活用して信頼性の高いカーボンクレジットを発行し、企業が安心して購入できるような仕組みを構築しています。

その仕組みを説明します。

まず「NFTrees」と呼ばれる実際の森林に紐づいたNFTが発行されます。この森林は地主の方からの申請もあれば、「Coorest」がスペインのサラゴサに保有する森林への植林からも発行されます。そして、「NFTrees」が削減するCO2 1kgにつき1$CCO2(Coorest CO2トークン)が発行されます。$CCO2トークンはバーンすることでオフセットでき、オフセット証明となる証明書NFTも発行されます。

概要は以上ですが、もう少し細かく解説していきます。

NFTrees

上述した通りNFTreesは実際にある森林に紐づくNFTです。企業がオフセットをしたい場合、すでに発行されている$CCO2を購入する場合もあれば、植林してNFTrees自体を保有するという選択肢もあります。NFTreesを保有することでその樹木が削減したCO2量に応じて、$CCO2トークンが発行されます。

このNFTreesには1本か複数かで2種類存在します。1本の場合は69USDCで、複数の場合は75USDCとなります。また、それぞれ20年間CO2を削減する想定となっています。

NFTreeはPolygon上で発行されているので、植林後にNFTree自体を売却することも可能です。

また、植林の際には10%余分に植林し、万が一NFTreeの対象となった木々が枯れてしまった場合は代替となる木へと所有権が移行されます。

$CCO2とPOCC

$CCO2はPolygon上に発行され、NFTreeが削減したCO2 1kgに付き1トークンが発行されます。$CCO2をバーンすることでオフセットが可能で、その際には証明書が発行されます。この作業をProof of Carbon Compensation(POCC)と呼び、ERC721形式のNFTでその詳細が記されます。

Coorestの特徴は?

続いて、特徴を見ていきます。

国連が認定する炭素監査機関の認証を受ける

Coorestで発行される$CCO2トークンのカーボンクレジットは国連が認定する炭素監査機関である「Earthood」によって認定されています。Earthood は、Coorest Carbon Standard を正当な炭素補償方法として正式に認めています。

これによって企業は安心して$CCO2の購入とオフセットに利用することができます。

衛星データをChainlinkでブリッジ

CoorestはFloodlightと呼ばれるプロジェクトと連携しています。Floodlightは衛星データを使用して、すべての炭素回収プロジェクトの森林を監視します。Floodlightによって収集された情報は、Chainlinkネットワーク経由でCoorest スマート コントラクトに送信され、トラストレスでオンチェーン化されます。この手順は毎月行われ、木が存在し、炭素を吸収し続けていることを確認します。

ガバナンストークン$CRSTが存在

CoorestはCO2に紐づく$CCO2の他に、Coorest自体のガバナンストークン$CRSTを発行しています。1$CRST=0.5USDCで以下のアロケーションで配布されました。発行は2023年5月に実施されました。

トークン保有者はガバナンスへ参加できる他、ステーキングすることでCoorest内で発生する手数料収入の一部を獲得できます。Coorestでは$CCO2トークンの発行、転生、バーンにおいてそれぞれ手数料が発生し、それを収益源としています。この一部を$CRSTをステーキングしたユーザーへ分配します。

ユーザー向けダッシュボード

ユーザーが保有するNFTreeの情報や$CCO2や$CRSTトークンの保有状況などを確認できるダッシュボードを構築しています。MetaMask等の自身のウォレットを接続することで状況の確認ができ、ブリッジやDAOでの投票、オフセット証明書の閲覧も一括で管理できます。

参照:Coorest DAPP

Coorestの変遷と展望は?

Coorestは2022年にエストニアを拠点として誕生したスタートアップです。これまでに上述したようなプラットフォームを整えてきました。

今後のロードマップとして掲げられていたのは、

  • シードラウンドでの資金調達
  • 分散型MRVシステムの構築
  • 流動性プールの構築
  • $CCO2購入のサブスクモデルの導入

などです。

ヨーロッパからスタートしましたが、アルゼンチンやアフリカなどでもNFTreeの土地が広がっています。

筆者としては、抑えるべき箇所を抑えて着実に成長しているという印象を受けました。筆者の独断ですが、カーボンクレジットを発行する事業者において非常に大切な要素は「発行するクレジットの認証」と「トラストレスなオラクルの仕組み」と「MRVの仕組み」であると考えます。現時点でのユーザー数や実績も大切ですが、この先に拡大する市場規模の大きさを考えると、良質なプロダクトさえできていればこれから巻き返すことは十分に可能です。しかし、逆に言えば良質なプロダクトがなければ選ばれなくなると言うことです。

カーボンクレジット発行時の大きな顧客はやはり大企業や大口の機関投資家になります。それらの顧客は”ちゃんとしたクレジットなのか”が非常に大切です。”ちゃんとした”と言うのは、どこから認証を受けているのか、それが本当に正しくブロックチェーンに刻まれているのか、この2つの要素があります。Coorestは国連が認定する認証機関と提携し、最も有名なオラクルプロトコルのChainlinkによってオンチェーン化されています。この座組は、現状考えられる中ではかなり信頼性の高いオンチェーンのクレジットが発行できます。また、適切なdMRVの仕組みがあることで継続的なクレジットの発行を可能にします。継続的にシステマチックにクレジットの発行ができなければビジネスとして成立せず、事業自体の持続可能性がありません。Coorestはここも衛星データを収集するプラットフォームと提携することで補っています。

ここまで見てわかるように、Coorestは自社で全てを賄うと言う発想ではなく、それぞれのプロフェッショナルと提携することで1つのプロジェクトを作り上げています。自社はトークン発行等のweb3要素を担当し、それぞれの事業者と提携することでエコシステムを築き上げています。web3っぽい共創関係を築きながら、きちんと抑えるべき箇所を抑え、トケノミクスを築き始めているCoorestの今後の成長に注目していきたいと思います。