KlimaDAOがリリースした数千万件のデジタルカーボンクレジットが売買可能なマーケットプレイス「Carbonmark」とは?

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目次

  1. Carbonmarkとは?
  2. カーボンクレジットの購入方法
  3. 一気に流動性が向上するマーケットプレイス

Carbonmarkとは?

「Carbonmark」は、デジタル化された数千万件のカーボンクレジットにアクセス可能なカーボンマーケットプレイスです。世界中のカーボンクレジット創出事業者と購入者をマッチングさせるマーケットプレイスであり、手数料0%で売買が可能です。少し強引な例えかもしれませんが、カーボンクレジット限定のOpenSeaのようなイメージです。デジタルカーボンクレジットの出品と購入が自由にできるマーケットプレイスです。

Carbonmarkは2023年3月にカーボンクレジットのオンチェーン化のプロトコルを提供する「KlimaDAO」によって開発、リリースされました。

カーボンクレジット市場の課題解決のためのKlimaDAOとは

より広い目線で解説すると、Carbonmarkはブロックチェーンを活用したデジタルカーボン市場(DCM)のマーケットプレイスです。カーボンクレジット業界には政府や国連主導のマーケットと、民間のカーボン市場であるボランタリーカーボン市場(VCM)が存在します。Carbonmarkが対応している箇所はブロックチェーンを活用したVCMの中の一部であるDCMです。

こう聞くと市場としては小さいように見えますが、カーボンクレジット市場の中でVCMが急成長しており、その中でもブロックチェーンを活用したDCMが急成長しているので、かなり市場規模としては大きな領域と言えます。まだまだ世界的にカーボンクレジットの売買が一般的ではないので、そこまで知られていない領域ですが、今後の脱炭素の流れの中でDCM市場が一気に主流になる可能性は十分に考えられます。Carbonmarkはそのためのマーケットプレイスです。

今回の発表でCarbonmarkの製品責任者であるGabriel Kentは次のように述べています:

「ボランタリーカーボン市場の透明性と信頼性を高めるオープン、パブリック、ニュートラルなインフラを開発することは、市場が拡大し、気候変動との闘いにおいてその役割を果たすために最も重要なことである。

Carbonmarkは、売り手がカーボンストアフロントを作り、買い手がカーボンクレジットを即座に検索、購入、償却するために必要なインフラです。私たちは、世界最大のデジタルカーボンの品揃えと、手数料ゼロの取引でスタートできることに興奮しています。Carbonmarkは、ボランタリーカーボンマーケットへのアクセスに革命をもたらすことでしょう。」

引用:Carbonmark、ユニバーサル カーボン マーケットプレイスを開始

カーボンクレジットの購入方法

では続いて、利用方法を見ていきます。Carbonmarkには購入側と出品側が存在しますが、多くの人は購入側で利用することになると思うので、ここでは購入側を見ていきます。Carbonmarkはグローバルなマーケットプレイスなので、どこからでも購入することができます。

①公式サイトからマーケットプレイスを開く

ここに数多くのカーボンクレジットが並んでいます。

【出典】Marketplace

②気になるプロジェクトをクリックして詳細を確認

プロジェクトの詳細が細かく書かれているので、しっかり確認します。


【出典】VCA-191

③購入ボタンを押す

ここで購入する量を選択します。支払いはUSDCで行いますのでウォレットに用意しておく必要があります。尚、チェーンはPolygonです。

【出典】Purchase 191

④購入!

ウォレットアドレス(コネクト)を入力し、購入ボタンを押すと購入がすぐに完了します。

購入後は自身のポートフォリオページで確認、償却(利用)二次流通に出すことができます。

また、今回はわかりやすくマーケットプレイスからの購入を紹介しましたがCarbonmark内にはカーボンプールから購入するという方法もあります。これはKlimaDAOのリタイアメントアグリゲーターを活用しており、KlimaDAO側の登録も多少必要となりますが、基本的なフローは同じです。

出品方法も非常に簡単ですので、グローバルに対して自身のカーボンクレジットを販売したいと考えている事業者さんはぜひ使ってみてください。

一気に流動性が向上するマーケットプレイス

Carbonmarkはグローバルなマーケットプレイスです。まだリリースされたばかりですが、この先のデジタルカーボン市場において大きな影響力を発揮していくことが予想されます。

KlimaDAOは2021年に設立され、ブロックチェーンを活用したカーボンクレジットの売買の実証実験を数多く実施してきました。これまでに数千万のカーボンクレジットを取得し、それらをまたぐ数十億ドルの取引を促進してきました。

そんなKlimaDAOが満を持してリリースしたマーケットプレイスがCarbonmarkです。今までのKlimaDAOを始めとした、デジタルカーボン市場は画期的ではあったものの、利用が難解な部分がありました。web3への知見が深い企業や個人であれば利用することができましたが、本当にカーボンクレジットを必要としている大企業などがスムーズに利用することは難しい側面がありました。Carbonmarkはそのような壁を排除し、慣れ親しんだ一般的なマーケットプレイスのUXで利用可能です。よってCarbonmarkはユニバーサルカーボンマーケットプレイスであり、デジタルカーボン市場(DCM)へのゲートウェイです。USDCで購入する必要がありますが、このマーケットプレイスの出現は一般企業が利用するに当たっての大きな進歩です。

しかし、特に日本においては国民にも企業にもまだカーボンクレジット自体の認知度が上がっておらず、その利用方法も整備されていません。少しずつ実装や理解が進んでいますが、まだまだこれからです。

これは個人の予想となりますが、おそらく国内の大企業も購入するのであれば日本国内の事業者の支援となるように国内発のカーボンクレジットの購入を望むように思えます。国外事業者のクレジットを購入してカーボンオフセットをすることは決して悪いことではありませんが、世論からの見え方やブランディングとしても、国内クレジットの方が評価を受けられる風潮になっていくように思えます。よって、今後Carbonmarketに国内クレジットが並ぶようになれば、一気にデジタルカーボン市場も拡大すると予測されます。

この領域は国家のルールメイキング、国民世論の動き、ブロックチェーンの技術的発展と、多様な要素が絡み合う領域ですので、引き続きそれぞれに注目していきます。

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