専門家が考える日本のカーボンクレジットの動向と課題【日本カーボンニュートラル機構 インタビュー】

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2023年日本でもカーボンクレジットの市場が東京証券取引所で開設され、国内でも脱炭素の動きが加速してきました。そのような中で、現在日本全国で森林クレジットを中心にカーボンクレジットの組成を支援している一般社団法人日本カーボンニュートラル機構の理事を務める辻本氏に、現在のJクレジットやカーボンニュートラルの動きについての見解を伺いました。

話し手:一般社団法人日本カーボンニュートラル機構 理事 辻本 貴行 氏

    1999 年:21 歳で生命保険取扱店として事業開始
    2001 年:23 歳で保険代理店として独立起業
    2003 年:自動車修理業、有限会社サンガを設立
    2004 年:運送会社、有限会社三箇建設興業を設立(現株式会社りぷる関西)
    2006 年:リース事業開始
    2007 年:土木建築業、株式会社共豊興業 監査役就任
    2008 年:有限会社サンガにて SDGs の観点により資源の再利用を目的とした東南アジア向けの貿易事業を開始。FRP サイクル法により、日本では廃棄処分となってしまう船舶など FRP 製品を海外にて資源再利用事業を開始する。
    2015 年:SDGs 事業の強化として日本では産業廃棄物となってしまうプラスチック製ホースを資源の再利用を目的として東南アジアにて販売、2022 年現在累積販売本数 2 万 5000本
    2016 年:不動産会社 エースホームビルダー代表取締役就任
    2022 年:東京証券における J クレジット実証実験取引において日本初の売買取引 1 号となる。
    2023 年:一般社団法人日本カーボンニュートラル機構の創業理事に就任。大阪カーボンニュートラル協会代表就任

日本のカーボンクレジットの実情と今後の課題や動向

Jクレジット、すなわち日本版排出権取引の実用化は、私たちが直面している環境問題に対処する上で非常に重要なステップだと考えています。このシステムの導入は、企業が温室効果ガス排出削減に真剣に取り組むきっかけを提供し、それにより新しいビジネスチャンスが生まれると考えています。例えば、低炭素技術やエネルギー効率の高い製品の開発などです。企業が環境に配慮した製品やサービスを提供することで、消費者の選択肢が増え、環境への意識も高まるでしょう。具体的には、再生可能エネルギーやエネルギー効率の高い製品、持続可能な資源管理などが挙げられます。また、炭素排出量の削減を目指す企業のためのコンサルティングや、新しい環境技術の開発なども重要なビジネスチャンスとなります。これらの分野における革新は、経済的利益と環境保全の両立を実現する可能性を秘めています。

温室効果ガスの排出削減は、地球温暖化の進行を遅らせるために不可欠です。Jクレジットのような排出権取引システムは、排出削減の目標を達成するための経済的インセンティブを提供し、企業や個人が環境に優しい選択をすることを奨励します。これにより、私たちの生活様式やビジネスモデルが持続可能な方向にシフトし、結果として地球温暖化の緩和に貢献することができると考えています。特に重要なのは、森林系吸収クレジットの役割です。森林管理の適切な実施は、大気中の二酸化炭素を削減するだけでなく、地域社会における雇用機会の創出や生物多様性の保全という、さらに広範なメリットを提供します。森林が持続的に成長し、炭素吸収の効果を最大化するには、長期的な計画と継続的な管理が不可欠です。しかし、これは短期間での成果を求める現代社会においては、挑戦的な目標と言えます。

対照的に、即時効果を期待できるのが、DAC(Direct Air Capture)技術です。この技術は、大気中の二酸化炭素を直接捕獲し、貯蔵することで、気候変動対策への貢献を目指します。例えば、スイスのクライメワークス社や米国のカーボンエンジニアリング社が開発したDACシステムは、空気中のCO2を吸収し、それを処理することで、環境に再放出されることなく二酸化炭素を取り除くことができます。DAC技術のさらなる開発と実用化は、2050年までの気候目標達成に向けた重要なステップです。捕獲された二酸化炭素は、再生可能エネルギーの生成や廃棄物からエネルギーを生み出すプロセスに活用できるだけでなく、長期的には地中に安全に貯蔵することも可能です。地中貯蔵の一例としては、CO2を地下の岩盤層に注入し、地球内部で安定的に保持する方法があります。これにより、大気中のCO2濃度を効果的に減少させ、気候変動の進行を緩和することが期待されます。

さらに、再生可能エネルギーの普及にあたっては、その全生命周期を考慮することが欠かせません。太陽光パネルや蓄電池などの製造から廃棄に至るまでの環境影響を評価し、持続可能な製品ライフサイクルを実現する必要があります。これには、原材料の採掘から製品の生産、使用、廃棄に至るまでの各段階での環境への影響を正確に把握し、継続的に改善していく取り組みが求められます。このような総合的なアプローチを取ることで、私たちは真に持続可能なエネルギーソリューションを実現することができるのです。

Jクレジットの取引は、本来カーボンオフセットを目的としていますが、重要な点は、オフセットはカーボンニュートラル達成の最終手段であって、根本的な温室効果ガス削減の手法ではないということです。このシステムは、排出削減を最大限に努力した後に、それでも削減しきれなかった排出量を相殺するためのものです。Jクレジットの価格が上昇すると、企業は単にオフセットに頼るのではなく、自らの排出削減により一層注力するようになるでしょう。これは、企業が環境保全に対してより積極的かつ実質的な責任を果たすための大きな推進力となります。

温室効果ガスの排出削減においては、単一の技術やアプローチに依存することはできません。例えば、持続可能なエネルギー源の開発、効率的なエネルギー利用、廃棄物管理の強化、都市計画の再構築、交通システムの最適化など、多岐にわたる分野での革新が求められます。これらの分野での技術革新と政策の進展は、温室効果ガス排出削減に向けた総合的なアプローチを形成し、より持続可能な未来への道を開くことになります。

最終的には、Jクレジットやその他の排出権取引システムは、単なる規制や財政的なインセンティブを超えたものとして機能します。これらは、企業や社会が持続可能な開発を目指して取り組むための枠組みを提供し、私たちが地球温暖化対策を一歩前進させ、より持続可能な未来へと進むための重要な基盤となるでしょう。この理念を基に、私たち一般社団法人日本カーボンニュートラル機構は、日本における持続可能な社会の実現を目指し、具体的な行動を起こしていきます。私たちは、企業や地域コミュニティがカーボンニュートラルを目指すための支援を行い、排出権取引システムの普及と正しい理解の促進に努めます。また、温室効果ガスの削減に貢献する技術開発やイノベーションを推進し、これらの取り組みを通じて、日本全体の環境意識を高めることも重要な使命と捉えています。

さらに、国内外の関連団体や企業との連携を深め、効果的な温室効果ガス削減戦略を共有し合います。教育プログラムや啓発活動を通じて、一般市民にも気候変動対策の重要性を伝え、具体的な行動への参加を促します。私たちの活動は、単に環境問題への対応に留まらず、経済的、社会的に持続可能な未来を実現するための広範な取り組みを含みます。

現在では欧州でもグリーンウォッシュという名前でカーボンクレジットは本当に脱炭素に貢献できるものなのか?所詮資本家の金儲けの道具に過ぎないのではないか?という意見も出てき始めており、カーボンクレジットというものの信用性を再度考え直す時期になってきていますが、この動きも健全な市場発展のためには必要なことであり、脱炭素の潮流が止まることはないと考えています。一般社団法人日本カーボンニュートラル機構として、私たちは持続可能な発展を目指し、全国で脱炭素の取り組み支援を行い、全国皆様の脱炭素に貢献していきたいと思います。

【公式サイト】一般社団法人日本カーボンニュートラル機構

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