仮想通貨投資のよくある失敗3選。そこから学ぶべき対策とは

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今日は、現在仮想通貨取引所でトレーダーを行うプロが、個人投資家の失敗集に関して詳しく切り込んでみたいと思います。

著者は前職では3メガ系証券会社で外国為替のスポット、フォワードトレーディング、そしてEM通貨建(トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアル等々)クレジットトレーディングを行っており、世界経済の分析をしながら日々マーケットと対峙していました。

これからご紹介する失敗集は仮想通貨だけではなく投資商品全般に言えることです。では「どのような失敗が多いのか?」「やりやすい失敗というのは?」具体的にどういうものがあるのかを理解しておきましょう。「百聞は一見に如かず」と言いますが、全く聞いたことないよりは、一度でも読んで理解してもらうことがとても大切です。

目次

  1. 仮想通貨投資のよくある失敗3選。そこから学ぶべき対策とは
    1-1.「ツイッターの有名な人がこう言っていたから」と投資を決める
    1-2.他の投資商品と同じ金額を投資する
    1-3.なんとなく上昇しているから「ついていかないともったいない」と投資を決める
  2. (まとめ)やりがちな失敗から考える取引する上で一番重要なことは?

仮想通貨投資のよくある失敗3選。そこから学ぶべき対策とは

1,「ツイッターの有名な人がこう言っていたから」と投資を決める

1つ目のよくある失敗、それは仮想通貨投資に特に言えることで、人の発言や真似をしてトレードすることです。

「投資は自己責任であり損は誰の責任でもなく自分の責任」です。これを理解せず、信じ込んで投資する人が多数存在します。また、ミラートレードと言って、人のトレードを真似することを推奨するところもありますがこれもおすすめできません。このような「楽して稼ごう」というスタイルは、最終的にどんな投資でも失敗してしまうためです。

仮想通貨以外でも、よくアナリストのコメントや雑誌の推奨記事を読んだりして、少し投資してみようかな?という感覚になることもあるでしょう。しかし、投資を行うにあたって必要なことは「本質を理解して、自分自身が納得して投資をすること」です。投資をする上で100%勝ち続けることはどんなプロでもできません。投資は最初負けることの方が多いものです。そこをショートカットして勝ちにいくことはまず不可能でしょう。

損失が出た時に、きちんと「なぜ負けたのか?何がダメだったのか?」と振り返ることを繰り返し改善していく中で、トレードは上手くなります。人の真似をして一番問題となるのは、「なぜ負けたのかわからない」という状態に陥ってしまうことです。例えば、仮想通貨であればBTC(ビットコイン)を初めて買った時になぜ買ったのかという理由が「人がいいと言ったから」というだけでは、自分で振り返ってフィードバックすらできません。これではただのギャンブルと同じです。

仮想通貨という世界はまだ発展途上であり、ヒヨコのような状態のマーケットです。さらに、外国為替のFXや株のように情報がリアルタイムで入るわけでもなく、またボーダレスな通貨であるため情報が正しいのかすらまだわからないことも多いマーケットです。仮想通貨に関して正しい情報を掴むためには、英語で公表される一次情報を読むことが最もおすすめですが、英語が苦手という理由からツイッターだけで情報を集める人も多いのではないでしょうか。そのツイッターも実際の情報ソースはわからないことが多く、結局「有名なツイッターの人をフォローしてポジションを作る」という「人がいいと言ったから」という投資と同じ、危険な投資を行ってしまっている人も見受けられます。

これから投資をされる方や、実際に既に上記のようなミラートレードを行っている方がいたら、まずは自分が危険な投資を行っているという自覚を持ちましょう。ツイッターは、参考材料として利用するのはとても有意義なツールであり、利益を出している(出している可能性がある)ツイッターのアカウントのエントリーを参考にするのはいいかもしれません。しかし、それについていくだけではなく、「なぜその人はここで買ったのか、売ったのか」という理由を掴んで納得し、自分の中で相場のシナリオが頭で整理できるようになることが重要です。

繰り返しになりますが「なんとなくその人が言っていたから」という理由での投資は控えましょう。

2,他の投資商品と同じ金額を投資する

次に初心者が失敗しがちな行動としては、「他の投資商品と同じ金額で仮想通貨に投資すること」があります。

あまりこのような失敗例はご覧にならないかもしれませんが、この考えは「投資をしたいのか」「投機として、大きく博打的に儲けたいのか」ということで正しいかどうか判断が分かれる部分でもあります。ここでは、あくまで仮想通貨を資産運用の1つの選択肢として、「投資」という位置付けでいる皆さんに紹介する前提で解説していきます。

では、例えば外国為替のFXでドル円を100万円分投資している人を想定してみましょう。その方が余裕資金100万円を保有しているため、BTCに投資をしたいと考えているとします。果たして、この方はBTCに100万円を丸々投資していいのでしょうか。結論は「NO」です。その理由は以下で詳しく見ていきましょう

例として、ドル円のボラティリティを10%、BTCのボラティリティを50%として解説します。では下記の表をご覧ください。(※説明用として金融機関がリスク管理をするときに利用するようなリスク算定のための計算ロジックは使用していません。あくまで初心者の方がイメージしやすいような計算を行っていますのでご了承ください。)

リスク管理や投資をするときに大事なのは「ボラティリティを加味して投資金額を決定すること」です。上記の表は、ドル円とBTCの両者に100万円投資した場合の想定損益額を表示していますが、BTCで予想される値動きの値幅はドル円の5倍両方向に動く可能性があるため、プラスもマイナスも大きいことが把握できます。もちろん、プラスにいけば大きなリターンが期待できますが、その一方で100万の投資に対して価値が半分にまで低下することも想定されるということです。

このように評価損益を計算してみると、100万円をBTCに投じるのはリスクが高く、リスクを考えると資産運用としての「投資」ではなく「投機」と言えます。この場合、私がおすすめするBTCへの投資金額は、ドル円の値動きを考えて「20万円」程度です。こうすることで年間に損益が発生する幅がドル円とほぼ同様になるためです。

大事なのは投資金額ではなく、「どのくらい期待損益、期待損失が生まれるか?」ということです。BTCへの投資をボラティリティを考慮した20万円に留めることができるのであれば、80万円余裕資金が生まれるため、そこで別の投資商品も含めて資産全体でポートフォリオを組むこともできます。様々な投資商品に投資しておくことでリスク分散にもなるため、この考え方はとても重要です。ボラティリティという観点で投資金額を設定するということをぜひ意識してみてください。

3,なんとなく上昇しているから「ついていかないともったいない」と投資を決める

最後にこれも初心者でやりがちなミスです。特に、こうした衝動に駆られやすく自制心に自信が持てないという投資家は、ビットコイン投資においてすぐに淘汰されることになりかねないので十分注意が必要です。

ここでのポイントは「チャートの勢いだけ見て投資するな!」ということです。初心者の投資家が仮想通貨投資を少し行ってみると、その値動きの大きさに驚きを感じると共に、変なギャンブル的要素の強い興奮に包み込まれるかもしれません。そのくらい値動きが大きいことが、「ギャンブル好き」と評される日本人をBTC投資へ駆り立てているとも言われています。

そうでなくとも、大きく相場が上昇し始めると、理由もなく「これ以上価格が上昇したら今買っておかないともったいない」という感情が生まれがちです。そして理由なく、なんとなく上昇しているから購入ボタンを押してしまうという行動に出てしまうというのもよく聞く話です。ですが、このような安易な投資行動を続ける限り、投資家はお金を減らし続けることは間違いないでしょう。

「自分は大丈夫!」という人もいるかもしれませんが、なかなかそうはいかないという実態を表すチャートをここでご紹介しておきましょう。


図:tradingviewより筆者作成

上記のチャートは、2017年ビットコインバブルと呼ばれた時のチャートを示しています。チャート上に記載した通り、2017年9月辺りで4,000ドル付近だったBTC価格が、3か月で20,000ドル以上まで急上昇しており、完全にバブルの様相を呈していました。

この時、個人投資家の間で起きていたことが、まさに「上昇の勢いが速すぎることからこのトレンドに乗らないともったいない」という安易な考えで行う投資でした。そうした心理がこの上昇相場を作り上げていたわけですが、では次に、この局面で全力で投資を行っていたらその投資家はどうなったのでしょうか。


図:tradingviewより筆者作成

結果は、なんとその後2018年夏まで下落の一途を辿り、資産の大部分を失う結果となります。

投資の取引において一番大事なことは、「ルールに基づいて取引判断を行うこと」です。取引のタイミングに一回乗り遅れたとしても、価格はそのまま下落もせずに上昇し続けることはありません。価格上昇の際には、必ず売り買いが発生しながら相場の波を作りつつ上昇していくものであり、過熱感が出た時は相場の過熱感に惑わされず、自分自身で何がタイミングなのかを決めて淡々とルールに沿った取引を行うことが一番重要なポイントと言えるでしょう。

それでは最後に、やりがちな失敗3選を踏まえてトレードで一番重要なことをまとめとしてご紹介します。

(まとめ)やりがちな失敗から考える取引する上で一番重要なことは?

その答えは「リスク管理、資産コントロール」です。そして、トレードで最大の敵はマーケットや相場ではなく「自分自身」です。

まず仮想通貨投資をしたいと思った時に、勉強するにはどうすればということを考えるのが一般的です。もちろん最低限の知識をつけることは大切です。しかし、その前に理解しておかないといけないのは自分自身の性格なのです。

相場が急上昇している時でも、慌てず判断ができるか?また、そのような相場展開となった時に自分自身の感情が心の中でどのように揺れ動くのか?あまり変動がなくつまらない相場になった時にどういう感情となり、無駄なポジションをギャンブル的な要素で作ったりしないか?

自分の性格がどうなっていて、感情の起伏や投資するときに感じる感情、高揚感、興奮度合い等を客観的に理解することが、まず最初に取り組むべきものです。これはどのような投資の本にも載っていないことですが、今まで証券会社のトレーダーとしての経験、そして学生時代から投資を行っていて一番大事と言えるアドバイスなのでご紹介しておきます。

「実はやりがちな失敗3選」の内容は全てこのリスク管理、リスクコントロールに通じていることがわかるでしょう。つまり、やりがちな失敗というのは、言い換えると自分の精神的な弱さや、欲望から一番重要なポイントを見逃して発生しているということです。

まず、仮想通貨投資を行うと決めた場合は自分自身を自己分析してみてください。そして、次に行うことは実際に少額のお金を入金してトレードをしてみて、値動きと実際に評価損益が出ている状態の中で、自分がどう感じるか嘘偽りなく書き出して見ることです。

人が成功している手法を真似しても成功するわけではないのは、成功している人は、その手法と自身の性格がマッチしているから継続的に利益を出し続けることが出来ているわけであり、それがあなたに合致するかはわかりません。だからこそ人の真似をするトレードすべきではないとも言えますし、ミラートレードをするということは何が大事か見失っているとも言えるのです。まずは勉強する前に自分自身を自己分析して上記のような方法で取り組んでみてはいかがでしょうか?

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12