食品大手の株式会社明治は5月19日、ヨーグルトなどの容器包装でプラスチック使用量を削減し、2030年度までに25%以上(2017年度比)の削減を目指す方針を発表した。18年に策定した「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」に基づき、プラスチック資源循環に対する象徴的な取り組みとして着手する。
同ビジョンは明治グループが食と健康のプロフェッショナルとして事業を通じた社会課題の解決に貢献し、人々が健康で安心して暮らせる持続可能な社会の実現を目指すための指針。「こころとからだの健康に貢献」「環境との調和」「豊かな社会づくり」の3つの活動テーマと、共通テーマである「持続可能な調達活動」を掲げ、それぞれのテーマに基づき社会課題の解決に向け取り組みを推進中だ。
同社が「企業の急務」として挙げるのが海洋プラスチック問題だ。国連の持続可能な開発目標(SDGs)では、17の目標のうち目標14に「海の豊かさを守る」を、目標12のターゲットとして「2030年までに削減、リサイクル、および再利用(リユース)などにより廃棄物の排出量を大幅に削減する」を掲げている。こうした流れを受け、日本政府は19年5月に「プラスチック資源循環戦略」を策定、「リデュース」「リユース・リサイクル」「再生利用・バイオマスプラスチック」それぞれに対するマイルストーンを定めた。リデュースに関しては、2030年までにワンウェイプラスチックをこれまでの努力を含め累積25%排出抑制することが盛り込まれている。同社は食品メーカーとしてこれに呼応、プラスチック資源循環の取り組み方針を策定した。
方針の中で、リデュースについては、30年度までにワンウェイプラスチック容器包装のプラスチック使用量を17年度比25%以上削減する。これにより30年度には17年度と比較し、7700トンの削減を見込む。具体的な取り組み例として、「明治プロビオヨーグルト」ドリンクタイプなどのペットボトルの軽量化、「明治スキンケアヨーグルト素肌のミカタ」のペットボトル容器の重量を商品発売当初の13gから8.7gへと順次切り替え、プラスチック使用量の削減を進める。これまでもペットボトルの軽量化に取り組んでおり、13年度から17年度の5年間で合計約1660トンのプラスチックを削減した。

また、プラスチック素材としてバイオマスプラスチック、再生プラスチックの使用拡大を推進する。バイオマスプラスチックは植物などの再生可能な有機資源由来のプラスチックで、化石燃料にできるだけ頼らず、CO2排出削減につながるため注目されている。今後はプラスチック製ストローにバイオマスプラスチックを配合、「明治おいしい牛乳」「ザバスMILK PROTEIN」「明治メイバランスMiniカップ」などの商品に貼付しているプラスチック製ストロー(年間約6億本)について、20年度から順次バイオマスプラスチックを配合していく。また、「果汁グミ」などの包装袋もバイオマスプラスチックや再生プラスチックを配合するよう検討を進めるという。

リユース・リサイクルでは、30年度までに商品の保管や輸送の際に使用するプラスチック製器具(パレット、クレート、ストレッチフィルムなど)のリユース・リサイクルによって、100%有効利用を図る。


HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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