国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局とエチオピア政府は9月4日、共同声明を発表し、11月にブラジルで開催される国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)において、アフリカ諸国の気候変動対策を全面的に支援する具体的な成果を出すよう国際社会に要請した。エチオピアの首都アディスアベバで開催中のClimate Weekで発表された声明は、「アフリカは気候変動対策を加速する準備ができているが、COP30はアフリカがそれを完全に実現できるよう保証しなければならない」と強調している。
声明は、エチオピアのフィツム・アセファ計画開発相とUNFCCCのサイモン・スティール事務局長の連名で発表された。9月8日からアディスアベバで開催されるアフリカ気候サミットを前に、アフリカ大陸が持つ気候変動対策の巨大な潜在力と、その実現を阻む資金不足の現状を指摘した。両氏は「世界で最も若い人口、広大な天然資源、比類なき再生可能エネルギーの潜在力、並外れた多様性と人間の創意工夫を持つアフリカは、気候変動対策の可能性を秘めた巨大なバネのようなものだ」と述べ、アフリカの変革的な可能性を強調した。
一方で、世界的な脱炭素化が急速に進展し、2024年だけでクリーンエネルギー投資が2兆ドルに達して経済成長と数百万の新規雇用を生み出しているにもかかわらず、アフリカ諸国への投資はごくわずかにとどまっている現状を批判。アフリカの革新的な解決策が気候レジリエンスの向上と温室効果ガス削減に貢献している一方で、その潜在能力のほんの一部しか実現されていないと指摘した。COP30では、これまでの合意を現場での成果に変換し、拡張可能な解決策を通じて新たな実施段階を推進する必要があると訴えた。
Climate Weekでは、エチオピアがCOP32(2027年)の開催地に立候補することも発表された。タイエ・アツケセラシエ大統領は「我々には、待望の気候サミットを開催する能力、施設、立地、接続性がある」と述べ、開催への意欲を示した。今回のClimate Weekには119か国から代表団が参加し、NGO、投資家、国際機関の代表者数百人が出席。40以上の実施プロジェクトが紹介され、他の市場での複製と規模拡大の可能性が検討された。UNFCCCのヌーラ・ハムラジ副事務局長は「Climate Weekは、コミュニティに実際の利益をもたらす実施の推進に焦点を当てている」と述べ、政府間プロセスと実体経済での実施を近づける新たなアプローチの意義を強調した。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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