ナイジェリア気候イノベーションセンター(NCIC)は、石油大手オアンド財団と共同で、若者向けの環境技術習得支援プログラム「グリーン・ユース・アップスキリング・プログラム」を開始した。同プログラムは、気候変動対策分野での技術人材育成と雇用創出を目的とし、参加者全員の就職先を確保する実践的な取り組みとして注目を集めている。ナイジェリアの有力紙THISDAYが8月13日付で報じた。
NCICのバンコレ・オロルントバ最高経営責任者(CEO)によると、同プログラムには7000人を超える応募があったが、パイロット段階として25人を選抜。特徴的なのは、研修前に受け入れ企業を確保している点だ。再生可能エネルギー企業を中心に、太陽光発電設備の保守管理など技術職での人材不足に悩む企業が参加者を受け入れる。研修後はインターンシップを経て、正規雇用につなげる計画だ。
NCICは7年前の設立以来、環境分野のスタートアップ支援に注力してきた。オランダ系投資会社オール・オンからの資金援助を受け、これまでに100社以上のベンチャー企業を育成。うち24社に総額2万4,000ドルを出資した実績を持つ。オロルントバ氏は「設立当初、ナイジェリアでは環境ビジネスへの関心は低かったが、ウェビナーや知識共有セッションを通じて、気候変動対策がビジネスチャンスになることを広めてきた」と振り返る。
今回のプログラムは、オアンド財団が進める若者の能力開発事業の一環として実施される。同財団は小中学校での環境教育プログラム「チェンジ・アワ・ワールド」を展開しており、技術教育への拡大を模索していた。約2年間の協議を経て、実践的な技術習得と確実な就職を組み合わせた独自のモデルを構築した。ラゴス州雇用信託基金も関心を示しており、プログラムの拡大が期待されている。
オロルントバ氏は若者への期待を込めて語る。「気候変動対策を単なる抗議活動や活動主義としてではなく、経済的な機会として捉えることが重要だ。ナイジェリアの若者には、自国の課題に適した革新的な解決策を生み出す能力がある」。同国では、環境問題を経済成長の機会に転換する取り組みが本格化している。
【参照記事】Oloruntoba: Why It’s Important to Equip Youth for Climate-smart Innovation

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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