グリーンテクノロジーのグローバルリーダーであるエンビジョン・エナジー(Envision Energy)は7月31日、世界初となるグリーンアンモニアの舶用燃料としての供給(バンカリング)に成功したと発表した。この歴史的な達成は、グリーンアンモニアの製造から輸送、バンカリング、そして船舶での運航に至るまでの完全なバリューチェーンが確立されたことを示し、世界の海運業界の脱炭素化に向けた大きな一歩となる。
今回のバンカリングは、中国・大連にあるCOSCO Shipping Heavy Industryのターミナルで実施された。エンビジョンが内モンゴル自治区赤峰市で運営する世界最大級のプラントで製造したグリーンアンモニア燃料が、5,500馬力のアンモニア燃料タグボートに供給された。同社はこの動きを、化石燃料に代わる「ニューオイル」時代を切り拓くものと位置づけている。
供給されたグリーンアンモニア燃料は、風力、太陽光、エネルギー貯蔵を統合した世界最大級の独立型再生可能エネルギーシステムによって稼働する赤峰市のプラントで製造された。このプロジェクトは、温室効果ガス排出量が検証されたグリーンアンモニアとして世界で初めてISCC Plus認証を取得しており、その環境的価値が証明されている。燃料供給を受けたタグボートは、独自開発のアンモニア二元燃料エンジンを搭載し、アンモニアへの燃料転換率は最大91%に達し、二酸化炭素排出量を大幅に削減する。
この成功により、大連港はバイオ燃料、グリーンメタノール、LNG、そしてグリーンアンモニアのバンカリングサービスを提供できる世界初の港となった。エンビジョンは、この先駆的な達成が世界の海運の脱炭素化における重要な一歩であり、世界中のグリーン燃料エコシステムにとって拡張可能な青写真になるとした。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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