大阪府豊中市は3月30日、市のホームページで「SIBを活用した禁煙支援事業『とよなか卒煙プロジェクト』報告書」を公開した。このプロジェクトは、禁煙支援を通じて、喫煙者本人の疾患発症・悪化予防や受動喫煙による周囲の人々の健康被害の防止に繋げるとともに、医療費・介護費用の削減、社会保障制度の維持を目的とする。委託者は豊中市、受託者は禁煙支援プログラムを提供する株式会社CureApp、一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)がインパクト投資家として資金提供や各種支援を実施。ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)を活用した世界発の禁煙支援事業となった。
SIBは、地方自治体などが民間事業者のノウハウや資金を活用して社会課題の解決を図る枠組み。豊中市は、喫煙や受動喫煙による疾病を予防し、市民の健康寿命の延伸を図るため、民間資金を活用した社会課題解決の手法であるSIBによる禁煙支援事業を、全国の自治体で初めて実施した。
同プログラムでは、スマートフォン専用アプリを活用するほか、看護師などの医療資格保有者によるオンライン面談、自宅に一般用医薬品(OTC)禁煙補助薬を配送することにより、通院の必要なく禁煙支援を受けられる。6ケ月間の禁煙支援プログラムで、支援の開始から終了までオンラインで完結するのが特徴。また、企業などから資金調達が可能な仕組みを活用し、社会全体で受動喫煙のないまちづくりを掲げた。
事業期間は2019年6月28日~22年3月31日。対象は、禁煙したい市内在住または在勤の人。費用は市内在住は無料、 市内在勤は3千円(クレジットカード決済のみ)。内容は、スマートフォン用禁煙支援アプリ・オンライン指導・一般用医薬品の自宅配送を組み合わせた、6ケ月間の禁煙支援プログラムの提供など。プログラム終了から6ケ月後(原則)に、専用キットで禁煙達成状況の確認を行った。
SIIFは資金提供のほか、中間支援組織として成果指標や社会的インパクト評価、成果連動型の支払い条件、資金調達方法等に係る案件組成支援を行った。また、事業期間中においては事業の進捗のモニタリングや、事業成果を追及するための議論や協働のファシリテーションを実施した。豊中市のプロジェクトは終了したが、SIIFは3月30日時点で、案件組成を含む中間支援、出資、モニタリング、助言等、国内の8件のSIBに関わっている。
報告書は①事業を実施した背景②「SIBを活用した豊中市在住・在勤の喫煙者に対する禁煙支援事業」の概要、③事業の結果④各事業者の評価・コメント⑤まとめという構成。
【関連サイト】SIBを活用した禁煙支援事業「とよなか卒煙プロジェクト」報告書
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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