米住友商事(SCOA)は6月28日、世界銀行グループに属す国際金融公社(IFC)らが創立した「Carbon Opportunities Fund(カーボン・オポチュニティーズ・ファンド)」と提携し、Climate Action Data Trust(CAD Trust)を使ったカーボンクレジットトークンの初取引を公表した。
今回の取引は、カーボンクレジットの透明性と品質が担保されたデジタル炭素市場インフラの構築を目指す取り組みの一環だ。カーボンレジストリEcoRegistryの協力を得て、ファンドは10,000トンの炭素をミント、Chiaブロックチェーン上でChia Asset Tokenとして発行された。ファンドはこのカーボンクレジットを購入者に送るだけで取引が可能になるという仕組みとなっている。
SCOAのマーク・ライラ氏は「ブロックチェーンの非中央集権的な性質は、改ざんや不正行為に強く、炭素市場の安全性を担保できる。また、ChiaとCAD Trustは、さまざまな炭素市場の統合を可能にするだけでなく、国境やプラットフォームを越えてカーボンクレジット取引を促進し、新しい炭素資産クラスの創設や炭素市場の流動性と価値の向上に貢献することができる」と話している。
Carbon Opportunities Fundは2022年8月、IFCの他、環境に特化したフィンテック企業Cultivo、脱炭素意識の高い消費者のための金融サービス会社Aspiration、および環境に配慮したデジタル通貨のスタートアップChia Networkが設立したファンド。Cultivoのデータドリブン・プロセスは、質の高い自然ベースのプロジェクトを選択し、炭素クレジットはChiaブロックチェーン上でトークン化され、シンガポール政府、国際排出権取引協会、世界銀行のパートナーシップであるCAD Trustによって追跡される。トークン化とCAD Trustプラットフォーム上での追跡は、炭素取引の透明性を高め、完全性を確保すると同時に、気候変動緩和のための世界的な取り組みに貢献する格好だ。

HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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