サウジアラビアを拠点とする大手石油化学SABICは7月20日、ブロックチェーンソフトウェアプロバイダーのCirculariseと協力して、スコープ3に分類される炭素排出量のエンドツーエンドの追跡を確立するため、同社テクノロジーを活用したパイロットプロジェクトの立ち上げを発表した。
企業が削減を求められている温室ガス(GHG:Greenhouse Gas)の排出量はスコープ1、2、3というカテゴリーに分類されている。スコープ1は事業者が業務によって燃焼する直接排出量にあたり、スコープ2は電気や熱などのエネルギー調達により発生する間接排出量、スコープ3はバリューチェーンにおける他社による間接排出量を指す。今回の取り組みはこの中でもスコープ3に焦点を充てた取り組みとなっている。
排出量の測定で生成や報告が複雑なのがこのスコープ3カテゴリーで、バリューチェーン間での情報の共有が不可欠となることから信頼できるデータを入手することが難しいという課題がある。SABICのプロジェクトでは、CirculariseのSmart Questioning技術を活用することにより、リサイクル業者からコンバーター、相手先ブランド製造メーカーなどすべてのバリューチェーン参加者が提供するCO2排出量データにアクセスが可能となる。
Circularise創設者のメズバ・サブール氏は「CirculariseはSABICプロジェクトの一環として、ブロックチェーンを活用したデジタル製品パスポートを試験的に導入し、企業が大規模かつ持続可能な形で製品のCO2排出量を追跡することで、包括的な製品ライフサイクル排出量レポートを生成できるように支援することを目指している」と述べている。
SABICは2022年にも、スペインのブロックチェーン企業Finboot社、英ケミカルリサイクル企業Plastic Energy、ポルトガル容器製造Intraplásらと共同で、製品に含まれる循環型原材料のデジタルトレーサビリティに向けてブロックチェーン技術を活用したパイロットプロジェクトを実施していた。

HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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