三笠市が未利用エネルギー活用フォーラム開催。水素を活用したまちづくりへ前進

北海道三笠市は3月22日、「第14回三笠市石炭資源活用研究会 三笠市未利用エネルギー活用フォーラム」を同市内で開催した。同市は石炭の地下ガス化を通じた産業の創出を目指し、室蘭工業大学と連携して「石炭の地下ガス化」や「二酸化炭素の地下固定化」など、クリーン水素の製造にかかわる様々な技術の検証を進めている。

同市は炭鉱で栄え市内には7.5億トンもの石炭埋蔵量があるとされており、3,800億Nm3の水素製造ポテンシャルがある。2021年には「ゼロカーボンシティ宣言を行い、市内の地域資源を活用した「ブルー水素」を活用するまちづくりを目標に掲げた。さらに22年、「実行計画(区域施策編)」を策定し、2050年における市内でのカーボンニュートラルを達成するための目標値として、ブルー水素の導入量を年間約700tと設定している。

2023年12月、大日本ダイヤコンサルタント株式会社、北海道三笠市、国立大学法人室蘭工業大学、エア・ウォーター株式会社、カワテックス株式会社が共同提案した「三笠市H-UCGによるブルー水素サプライチェーン構築実証事業」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発」(地域モデル構築技術開発)に採択された。

現在は水素の製造から利活用に至る一連の実証実験に向け、産官学が協力して調査・研究を実施している。同フォーラムでは、石炭地下ガス化の取り組みと、水素を活用したまちづくりに向けた進捗などが報告された。

冒頭、室蘭工業大学大学院工学研究科特任教授の板倉賢一氏が「水素社会の実現へ『大きな一歩を踏み出したH-UCGの展望』」と題し講演。板倉教授は今年2月に閣議決定された「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案」(水素社会推進法案)と「二酸化炭素の貯留事業に関する法律案」(CCS事業法案)について説明。併せて実証事業の進捗、水素の供給と地方創生に向けた課題を説明した。

これを受け、大日本ダイヤコンサルタントによる「三笠市H-UCGによるブルー水素サプライチェーン構築実証事業について」、特定非営利活動法人地下資源イノベーションネットワークによる「露頭炭層ガス化・水素製造実験の成果」の2講演が続いた。

【関連サイト】「三笠市H-UCG事業(未利用エネルギー活用事業)について

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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