厚生労働省は1月11日、産学官で構成する「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」を設立すると発表した。同イニシアチブは、日本の重要な栄養課題である①食塩の過剰摂取②若年女性のやせ③経済格差に伴う栄養格差の改善に向け、産学官が連携し、環境面にも配慮しながらより良い食環境を築くことを目的としている。
同イニシアチブ設立の背景には、国連のSDGs(持続可能な開発目標)により「誰一人取り残さない、持続可能で包括的な社会づくり」の重要性が認知されてきたことがある。SDGsの17の目標の1つに、2030年までに「飢餓をゼロに」することが掲げられている。食糧難による飢餓の解決はもちろん、バランスの良い栄養摂取は、先進国でも大切な課題だ。2021年9月には「国連食料システムサミット」が、同年12月には「東京栄養サミット2021」が開催され、栄養不良の解決に向けた社会的な機運が高まりつつある。
厚労省は、関係省庁の協力を得て、21年2月から6月にかけ「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会」を開催し、日常の食生活で健康を維持・増進できる環境の在り方について議論を重ねた。産学官等の連携で栄養面と環境面に配慮した食環境づくりを推進していくため、報告書を取りまとめた。
同イニシアチブは、「健康的で持続可能な食環境の実現に向けた社会実装エコシステムの構築と展開」を目標に①イニシアチブとしてのゴール策定②食環境づくりに資する研究・データ整備などの推進③各参画事業者のSMART形式の行動目標に関するPDCAプロセス支援④国内外に向けた情報発信のため活動する。
イニシアチブとしてのゴール策定では、東京栄養サミット2021での食環境づくりに関する日本政府コミットメントを踏まえた、産官学等で協働すべき効果的な取組の特定、行動ロードマップの策定などを行う。食環境づくりに資する研究・データ整備は、日本およびアジアの食生活や栄養課題に適合した栄養プロファイリングシステムの検討、消費者への効果的な訴求方法、販売方法等に関する多施設検証など。各参画事業者のSMART形式の行動目標に関するPDCAプロセス支援では、産学官、同業種・異業種間の情報交換・意見交換(連携機会の創出)、国(厚労省)、研究所、さらに金融機関関係者、機関投資家などと情報、意見を交換していく。
今月20日に参画事業者の登録説明会を開催、3月上旬に同イニシアチブの初会合を開く予定だ。
【関連サイト】厚生労働省「自然に健康になれる持続可能な食環境づくり」[/btn]
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