ミラノで第3回フォレスタミ・アカデミー開催 生物多様性の専門家が都市の緑の重要性を講演

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プラダ・グループと共同で運営する都市緑化の教育プログラム「フォレスタミ・アカデミー」の第3回講演会が6月18日、イタリア・ミラノで開催された。植物生態学・生物多様性保全の国際的専門家であるティツィアーナ・ウリアン氏(トリノ大学准教授、英国王立植物園キュー名誉研究員)が登壇し、都市環境における植物の多様性と生態系サービスの重要性について講演した。

25年以上にわたりラテンアメリカ、アフリカ、地中海地域で生物多様性保全プロジェクトを主導してきたウリアン氏は、「都市の自然は贅沢品ではなく、必要不可欠なインフラである」と強調。植物が大気浄化、気温低下、メンタルヘルス支援、気候調節、受粉など多岐にわたる重要なサービスを提供していることを説明した。

講演では、生物多様性の損失が世界的に深刻化している現状についても言及された。最大100万種が絶滅の危機に瀕し、植物種の40%が地球規模で脅威にさらされているほか、1970年以降、野生生物の個体数は69%減少し、陸地の75%が人間活動により大きく改変されている。これらの主な原因として、無秩序な都市化を含む土地利用の変化、気候変動、汚染、侵略的外来種の拡散、天然資源の過剰利用が挙げられた。

ウリアン氏は、こうした課題への解決策として「自然に基づく解決策(Nature-based Solutions:NbS)」の重要性を提示。NbSは大気質から水管理まで都市が直面する課題に対し、自然のプロセスを活用して対処する手法で、同時に生物多様性と人間の幸福を促進するものだ。また、英国王立植物園キューやサントドミンゴ国立植物園、トリノ植物園などの植物園が、保全・革新・教育・科学と市民をつなぐハブとして重要な役割を果たしていることも紹介された。

講演後は、パルコ・ノルド・ミラノの農学者ファビオ・カンパーナ氏らの案内で、ミラノの歴史的公園であるセンピオーネ公園での自然観察会が実施された。フォレスタミ・アカデミーは市民や学生、専門家を対象に都市緑化の価値について知識を深め、意識を高めることを目的としており、2025年の第3回最終講演は9月に屋外体験として開催予定だ。

フォレスタミは2030年までにミラノ大都市圏に300万本の木を植えることを目標に掲げ、都市の自然資本を強化し、大気汚染の削減と生活の質の向上、気候変動への対策を進める。2025年4月にはフォレスタミ財団が設立され、ミラノ大都市圏内外でのプロジェクト展開を継続している。

【参照記事】https://www.pradagroup.com/ja/news-media/press-releases-documents/2025/25-06-18-forestami-second-meeting-third-edition.html
【参照URL】プラダ・グループ公式サイト
【参照URL】フォレスタミ公式サイト

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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