カナダの生産者責任団体Circular Materialsと、電池リサイクルのCall2Recycle Canadaは7月22日、リサイクルに関するベストプラクティスの共有と市民啓発の強化を目的とした戦略的提携を発表した。両団体は拡大生産者責任(EPR)の全国的なリーダーとして、それぞれの専門分野における知見を活かし、カナダ国民の責任あるリサイクル活動を支援するとともに、生産者の規制遵守をサポートする。
この提携により、Circular Materialsが持つEPRプログラムの設計・実施に関する包括的な専門知識と、Call2Recycleが展開する「Recycle Your Batteries, Canada!」プログラムの電池リサイクルに特化した知見が統合される。両団体は、コミュニケーション戦略の連携、ベストプラクティスの共有、教育・啓発活動の相互強化を通じて、より効率的なリサイクルシステムの構築を目指す。特に重要なのは、電池の誤った廃棄による火災リスクの防止など、リサイクルシステム全体の安全性確保への取り組みだ。
Circular MaterialsのCEOアレン・ラングドン氏は「この重要な協力関係は、全国的な資源回収率の向上と、リサイクルに関する価値と教育の提供という共通のコミットメントを反映している。協働により、リサイクルに関する市民の認識と理解を強化し、カナダ全土での環境成果の改善に注力する」と述べた。Call2Recycle CanadaのCEOジョー・ゼノビオ氏は「電池の安全性は我々の活動の中核。15,000カ所の回収拠点での安全なリサイクルを確保し、リサイクル用の青い箱などの不適切な場所に電池が混入しないよう、教育が鍵となる」と強調した。
カナダでは近年、EPR規制が州ごとに導入・強化されており、生産者は製品のライフサイクル全体に対する責任を負うことが求められている。Circular Materialsは17の大手食品・飲料・消費財メーカー、レストラン、小売業者によって設立され、プログラム設計から規制報告まで包括的なEPRサービスを提供している。一方、Call2Recycleは400以上の会員企業を持ち、家庭用電池やe-bike用電池のリサイクルプログラムを運営している。今回の提携は、異なる専門分野を持つEPR団体が協力することで、安全性、環境保護、市民教育を優先した生産者主導の新たな協力モデルとして注目される。
【参照記事】Circular Materials and Call2Recycle Canada join forces to build a safer, more sustainable future

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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