金融機関監督における国際協力を目的とするバーゼル銀行監督委員会(BCBS、Basel Committee on Banking Supervision)は3月13日、仮想通貨に関する声明を公表した。
BCBSは、G10諸国の中央銀行総裁会議により設立された銀行監督に関する協議の場だ。BCBSは、世界各国の銀行監督の強化を目指してて、銀行監督に関する基準をとりまとめを行う。メンバー諸国がそれぞれの法令を制定するにあたり、BCBSの基準を参照することで銀行監督に関する国際的に共通アプローチが形成されることとなる。
今回発表された声明では、仮想通貨は通貨として機能しておらず、価値の交換手段、価値の保存手段として利用するために適していないと評価している。また、仮想通貨は銀行にとって詐欺やサイバーリスクなどを含むオペレーションリスク、マネーロンダリングやテロ資金供与に関するリスク、法的リスクや風評リスクなど、さまざまなリスクがあるとされている。
BCBSはこうしたリスクの上で、銀行が仮想通貨や仮想通貨に関連するサービスの取り扱いを行う場合に最低限採用するべき4項目について述べている。1つ目はデューデリジェンスで、仮想通貨の取り扱いの前にはリスクに関する包括的な分析を行うことだ。2つ目はガバナンスとリスクマネジメントで、銀行は仮想通貨サービスが孕んでいるリスクに適したリスク管理の枠組みをもつ必要性が述べられている。3つ目はディスクロージャー(情報開示)で、銀行は仮想通貨の資産の割合や仮想通貨関連サービスの情報開示を行い、規制に準拠した会計処理を行うことが推奨されている。4つ目は監督当局との対話で、銀行は実際の活動、計画を問わず、監督当局との対話の中で仮想通貨サービスに関するリスクの十分な検証を求めている。
BCBSは今後、仮想通貨のリスクの高さを適切に反映するため、金融システムの安定を担う当局間の協調促進を目指す金融安定理事会(FSB、Financial Stability Board)などと協調しながら仮想通貨の取り扱いに関して慎重な姿勢をとっていくとしている。
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