日本企業は依然としてジェンダーダイバーシティに課題。アクサIM「スチュワードシップ・レポート 2022」

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日本企業における女性の新卒採用比率はこの10年間で増加傾向を示しているが、女性の管理職比率は依然低い――アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社(アクサIM)は7月31日発表した「スチュワードシップ・レポート2022」 日本語版で、日本企業の「ジェンダーダイバーシティに課題がある」と指摘している。

同レポートは、気候変動や生物多様性などの課題に関するアクサIMのESG(環境・社会・ガバナンス)投資の進捗や投資先企業の対応、ジェンダーダイバーシティなどの社会的課題に対する投資家のエンゲージメントが強化されていることを指摘する内容。日本の上場企業のケーススタディも紹介している。

アクサIMは39社の日本企業に30%クラブ・フランスのインベスターグループ(取締役会などでの女性役員の比率を2025年までに少なくとも30%に引き上げることを目指すフランスの機関投資家グループ)が注目するKPI(重要業績評価指標)リストに基づいた質問状を送付。質問状の回答を基に35社と対話を行い、ワークライフバランスやセクシャル・ハラスメントなどの問題に対する取り組みや、取締役会で女性が占める割合などのデータの開示を求めた。

同社は、日本企業における女性の新卒採用比率はこの10年間で増加傾向を示しているものの、上場企業におけるシニアマネジメントや取締役会のダイバーシティの水準は「他の先進国やアジア諸国の水準を全般的に下回っている」と指摘している。

特に、女性取締役比率は社外取締役を含めると増加傾向にあるが、女性取締役の数値目標を掲げる企業は多くなく、理由として「女性の社外取締役の確保の難しさや社内での後継者育成に時間がかかる」という課題が示される結果となった。

他方で、日本の上場企業との対話を通じて、ほとんどの企業はダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DE&I)への取り組みや取締役会の多様性の向上に前向きで、今後も議論の継続を希望しているという。企業社会でも、東京証券取引所の市場区分見直しやコーポレートガバナンス・コードの改訂、多様性に関する指標の開示拡充を含むサステナビリティ情報等の開示の要請などの動きがある。

同社もこうしたダイバーシティ水準の向上に向けたエンゲージメント活動を活発化させており、「上場企業との対話を通じて、アクサIMが注目している重要指標や開示を充実してほしい項目を伝えることができる」と、対話のメリットも説明。「アクティブ運用を行う責任ある資産運用会社として、スチュワードシップを通じ、持続可能で公正な移行を後押ししていく」という姿勢を明示している。

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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