目次
veritreeとは?
「veritree」は、地球を回復させるために、企業と検証済みの植林プロジェクトを結び付けるプラットフォームを提供する企業です。地元の雇用を創出し、炭素を隔離し、生態系を回復することを目的にし、2030年までに10億本の樹木を植えることを目指しています。
具体的なプロダクトとしては植林プロジェクト向けと企業向けの2種類構築していますが、まずは植林プロジェクト向けのプロダクトから見ていきます。
「veritree」はグローバルに存在する様々な植林プロジェクトのパートナーとなっています。植林プロジェクトは「veritree」を通して資金調達ができることが大きなメリットですが、そもそもの植林を管理できるツールキットの提供もしています。これは寄付を行う企業側がきちんと植林が実施されていることを確認するために必要であり、またきちんとした植林が実施されていないと地球にとってもあまり意味のない結果となってしまうので必須です。このツールキットにテクノロジーが利用されており、ブロックチェーンも採用されています。
具体的に実施できることを見ていきます。
①プロジェクト管理
入力したデータや検証記録などが1つのダッシュボードで全て管理できます。
②データ収集
地上での監視とリモートセンサーテクノロジーを活用して植林プロジェクトの地域全体の情報を収集し、記録します。
③検証
収集されたデータが完全で一貫性があり正確であることを確認し、木が二重にカウントされていないことを確認します。
④公開
収集された情報が検証されるとその情報がパブリックブロックチェーンに刻まれます。これにより、追跡可能性と透明性が強化され、データと証拠が変更されず、改ざんされないことが保証されます。
⑤企業連携
後述する企業側のダッシュボードにて植林の情報が見れるように連携されます。
以上が植林プロジェクト側が利用できるプロダクトになります。
企業の植林方法
続いて、企業側について見ていきます。「veritree」は企業と検証済みの植林プロジェクトを結び付けるプロジェクトですので、当然ながら企業側にもプロダクトを提供しています。
実際には、ダッシュボードのような画面を提供しており、それによってその企業がどれだけ植林を達成したのかを把握できます。例えば、パートナーポータルでは企業が修復活動を追跡、管理、閲覧することができます。
他にも、インパクトハブという形で企業がコミュニティ(顧客)と共にどれだけ植林に成功したのかを確認できる機能も提供しています。
さて、今コミュニティ(顧客)と共に植林状況を追いかけるという言葉が出ましたが、企業はどのタイミングで資金を寄付し、植林するのでしょうか。
1つは従業員毎に一定額をサブスクリプションで寄付をする形が存在します。企業活動におけるカーボンオフセットを達成したり、採用やブランディングとしてSDGs活動への貢献や地域社会への貢献を示すことができます。
また、それ以外にも「veritree」は2つのタイミングでの寄付を提案しています。
- 商取引
例えば、商品が売れる度に木を1本植える、取引額の1%で木を植える、などです。企業活動における取引と組み合わせて植林を行います。この方法は顧客に対して最もアピールがしやすい取り組みかもしれません。 - 記念日やイベント
企業活動における記念日、例えば新製品リリースタイミング、上場タイミング、会社設立10周年などに加えて、絶対的な記念日、例えば地球の日や環境カンファレンスの日などにキャンペーン的に一定の金額を寄付する方法です。この方法もイメージがつきやすいですね。
総じて、企業があらゆる方法で植林への寄付が行えるような在り方を提案し、植林が確かに実施されたことを証明できるダッシュボードを提供しています。
変遷と展望は?
ここまで「veritree」の概要について見てきました。
実は「veritree」自体は2019年に設立されたプロジェクトですが、ファウンダーのチームは2006年から植林の活動を実施しています。ファウンダーのデリック・エムズリー氏は、10代の頃にカーボンクレジットベンチャー(100万ドル以上の契約を獲得)を設立し、故郷のサスカチュワン州レジーナ郊外に15万本の木を植えました。その後、2012年にtentreeと呼ばれる自然に恩返しをするブランドを設立しました。tentreeは販売される製品1つにつき10本の木を植えるライフスタイルブランドで、設立から10年たらずで1億本の植林に成功しました。
そして、デリックはパートナーとともに、世界的な植林活動を監視、検証、監査、拡大するためのツールの構築に重点を置いたveritreeを立ち上げました。「veritree」はCardano Foundationと提携してITO(Initial Tree Offering)も実施しており、ブロックチェーン領域のプロジェクトとも積極的に絡んでいます。このITOは寄付金額の100%が植林され、投資家は寄付した金額に応じてNFTが付与されました。
さて、今後の「veritree」はどうなっていくでしょうか。最後は展望を考察します。具体的なロードマップは公開されていませんでしたが、HPに1つ近日公開のプロダクトの情報が掲載されていました。
「インパクトウォレット」と呼ばれるプロダクトで、消費者はネットワーク全体でつながり、交流し、パーソナライズし、その影響を共有することができると書かれていました。
これはブロックチェーンを利用したものなのかはわかりませんが、よりマス向けのプロダクトを用意しているようです。個人的な考察としては、非常にやることがはっきりしているプロダクトであり、また実績のあるファウンダーのチームですので、今後も成長し続けていくのではないかと感じました。
現状は植林のみでカーボンクレジットの発行や販売はしていませんが、植林の管理ツールを提供しているので、今後はそういった領域にも参入できます。また、運営するライフスタイルブランドのtentreeでも植林をしていますし、すでにお客さんがいるので、自分たちのブランドを初期ターゲットにおいてプロダクトの仮説検証ができるという点は非常に有利だと感じます。
このようなマッチングプラットフォームで肝となるのはやはり企業側の需要で、そこが把握できないと寄付を押し付けるプラットフォームになってしまい永続性がありません。
その点、「veritree」のチームはすでに植林を結び付けたブランドで一定の成果を挙げていることから、ビジネスと植林(寄付)の結び付け方や顧客への伝え方などへの知見を持っています。「veritree」の今後の発展が非常に楽しみです。
mitsui
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