高いスケーラビリティと環境に優しい特徴を持つイーサリアムキラーのL1チェーン「NEAR」とは?

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引用:NEAR

目次

  1. NEARとは?
  2. NEAR上のプロジェクト事例
  3. NEARのReFiでの活用
  4. NEARの変遷と展望

NEARとは?

NEARは、スケーラビリティとユーザーフレンドリーな設計を前面に押し出したL1ブロックチェーンです。シャーディング技術を採用しており、トランザクションの処理能力を大幅に向上させることができるのが最大の特徴として挙げられます。このシャーディングにより、ブロックチェーンの伸び悩む問題点であるスケーラビリティの課題を効果的に解決しようとしており、イーサリアムキラーとも呼ばれています。

セキュリティ面では、変わったコンセンサスアルゴリズムを導入しており、取引の確認速度とセキュリティのバランスを最適化しています。また、開発者の利便性を強化するための工夫も施されており、様々なツールやライブラリが提供されています。これにより、DAppsやスマートコントラクトの開発が容易になっています。

では、その1つずつ特徴を見ていきます。

①シャーディング

シャーディングはネットワークのスケーラビリティを向上させるための主要な技術として位置づけられています。簡単に言えば基盤となるチェーンの横にシャードと呼ばれるチェーンを作ることでトランザクションを並列処理することを可能にします。

NEARプロトコルでは、このシャーディング技術を採用してブロックチェーンの各部分を独立して処理させることで、トランザクションの処理速度を向上させています。より具体的には「Nightshade」というシャーディング技術を適用しており、ビットコインの処理の700倍の早さの処理になるとも考えられています。

②EVM対応

NEARプロトコルはL1チェーンでありながら、他のチェーンとの相互運用性を確保するためにブリッジプロトコルを積極的に開発しています。中でも「Rainbow」と呼ばれるブリッジ機能はイーサリアムとの互換性を可能にしEVM互換性を担保します。

③環境に優しい

NEARは環境に優しいチェーンとして知られており、第三者機関からの認証も得ています。環境問題に関する取り組みのサポートなどを行う組織「South Pole」は、2021年の調査でNEAR Protocolは1年に174トンの二酸化炭素を排出しており、この数値はビットコインよりも20万倍、炭素効率が良いことを示しているそうです。その結果、NEAR Protocolは2021年4月、South Poleから「Climate Neutral Product」という認証を獲得しました。

④ブロックチェーン オペレーティング システム (BOS)

NEARは使い慣れた言語で開発できるBOSの仕組みを実装しています。これによって開発者はJavaScriptを利用して開発ができます。また、コンポーネントも多数用意されているため、目的とするDAppsを簡単に開発することができます。

引用:NEAR

NEAR上のプロジェクト事例

続いて、代表的なプロジェクトを2つ紹介します。

①Mintbase

引用:Mintbase

MintbaseはNEAR上に構築されたNFTマーケットプレイスです。イーサリアムのガス代が高価になりすぎた中で、SolanaやPolygonチェーンでのNFTも流行りましたが、そのNEAR版です。

②ReFi Finance

引用:ReFi Finance

ReFi FinanceはNEAR上に構築されたDeFiプラットフォームです。トークンのスワップ、プール、ファーミングが可能です。ReFi Financeはコミュニティ主導で開発されており、ネイティブトークンの発行もしています。上記のように他のチェーンと同じようなNFT発行やDeFiでの活動ができます。その他、現在213のアプリケーションが稼働しています。

NEARのReFiでの活用

NEARは独自のシャーディング技術によって高速なトランザクションを可能にするL1チェーンで、イーサリアムキラーとも呼ばれています。よってReFiに限らず多くのユースケースが誕生しています。上述したようにNFTマーケットプレイスやDeFiプラットフォームなどが存在し、開発者はDAppsを気軽に開発できます。その中でも、ReFiとの親和性は高いとされ、ReFiプロジェクトの中でNEAR上にDAppsを構築したり、NEARチェーンに対応する事例も多く見られます。その理由はスケーラビリティの確保と環境に優しいブロックチェーンであることが挙げられます。

ReFiはその名の通り、”ファイナンス”の仕組みがDAppsのコア機能の1つに存在するため、膨大なトランザクションに対応できる必要があります。また、トランザクション毎の手数料が安くなければ快適なDAppsを構築することができません。そして、いくらReFiのプロトコルで環境に優しい取り組みをしていても、基盤となるブロックチェーンの電力効率が悪ければ全く意味がありません。極論ですが、100トン分のカーボンクレジットを販売するプロトコルの開発と利用に、100トン分の二酸化炭素を排出していてはプラスマイナス0となります。ここまで極端なチェーンは今はあまりないと思いますが、基盤となるチェーンの二酸化炭素排出量が少なければ少ないほど良いのは間違いありません。

よって、スケーラビリティがあり低コストで利用でき、環境に優しいNEARチェーンはReFiプロジェクトにとって検討すべき有力チェーンの1つとなっています。

NEARの変遷と展望

NEARはクリプト業界の著名企業からの出資を受けています。2019年7月には、Coinbase Ventures、米リップル社の投資部門RippleXなどから1,210万ドル(約13億円)の資金を、 2020年5月には、a16z cryptoが主導して2,160万ドル(約24億円)の資金を、2022年1月には、シンガポール大手仮想通貨ヘッジファンド「Three Arrows Capital」が主導し1.5億ドル(約170億円)の資金を調達しました。その資金を元に開発者を誘致するファンドを積極的に組成してエコシステムの拡大に注力しています。

ネイティブトークンの価格に関しては全体の市場と同じように高騰し、執筆時の2023年8月末は174円付近となっています。

引用:CoinmarketCap

イーサリアムキラーとも呼ばれ、巨額の資金調達を果たしているNEARプロトコルなので、これからの拡大が期待されています。特にReFi領域との親和性は非常に良いので、ReFiプロジェクトの第一想起となるチェーンに選ばれることができれば、ReFi市場の成長と共に急成長していくことも期待できます。スケーラビリティがあり環境にも優しいチェーンとしてCeloチェーンやPolygonチェーンも存在しており、競争は激化していますが、NEARチェーンの今後にも注目していきたいと思います。