ブロックチェーンを活用してUBIを実現する「GoodDollar」とは?

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参照:GoodDollar

目次

  1. GoodDollarとは?
  2. GoodDollarの仕組み
  3. 気候変動に対処するGoodCollective
  4. GoodDollarの展望は?

GoodDollarとは?

GoodDollarは、世界の経済的不平等に挑むプロジェクトであり、ブロックチェーン技術を活用してユニバーサルベーシックインカム(UBI)の理念を実現しようとしています。GoodDollarにサインアップすると、誰でもERC-20上に発行されたトークンである「G$」を獲得することができます。毎日小額の所得を提供することにより、世界中の人々に経済的安定をもたらすことを目指します。2023年11月時点で、181か国から640,000 人を超えるメンバーが所属し、13の地域にコミュニティ支部が存在しています。

GoodDollarプロジェクトの背景には、世界的な経済格差と貧困問題への深い懸念があります。国際労働機関(ILO)や世界銀行の報告によると、世界の貧困層は日々の生活に必要な基本的な資源へのアクセスに苦労しています。この問題に対処するため、GoodDollarはデジタル技術と経済的理念を組み合わせることで、新しい解決策を提案しています。

GoodDollarのコンセプトは、伝統的な金融システムとは異なるアプローチを取ります。ブロックチェーン技術を利用して、中央集権的な制御を排除し、透明性と信頼性の高いシステムを構築しています。このシステムでは、登録ユーザーは毎日一定量のGoodDollarトークンを受け取り、これを利用して日常の取引に活用することができます。これにより、貧困層を含むすべての人々に対して、安定した収入源を提供し、経済的不平等を緩和することが期待されています。この取り組みは、経済システムをより公平で持続可能なものに変革するための一歩として、世界中の多くの人々から支持を受けています。

GoodDollarの仕組み

GoodDollarが配布する「G$」はERC-20上に発行されているトークンで、一定の準備金を担保にしたトークンです。一定の準備金を担保にしたトークンであるため、配布された側も生活に利用することができ、価格の乱高下がなくベーシックインカムとして活用できます。

ではどこから担保金を用意しているのでしょうか。「G$」は個人や企業からの投資や寄付によって成り立っています。その全体像は下記図の通りですが、少しややこしいのでピックアップしてご紹介します。

簡単に言えば、GoodDollarが連携しているサードパーティーのDeFiプロトコルに資金を預け入れ、その収益がGoodDollarプロトコル内の準備資金として預け入れられます。その資金を担保にしてG$が発行され、資金を預け入れた投資家、UBIを求める人々に配布されていきます。G$のトークン生成イベントはこのプロセスによってのみ生まれるので、ゆっくりと価格が安定したままG$が生成されていきます。現在はEthreum、Celo、Fuse上で稼働しています。

参照:Coinbase

この理論を現在の資本主義でよく言われる「トリクルダウン」に反して「トリクルアップ」と呼んでいます。

「トリクルダウン」は日本でもこの10年の経済政策であるアベノミクスの方針として知られています。簡単に言えば大企業や富裕層を優遇して稼ぎが大きくなれば、コップから溢れた水が下に流れていくように中小企業から個人消費者へも流れていくという理論です。経済政策は複雑なので単一の原因で論じることはできませんが、結果として、アベノミクスの効果はでず、大企業の内部留保は過去最大になりましたが、それが還元されることはありませんでした。

GoodDollarはホワイトペーパーの中でこのトリクルダウンは機能しないことに言及しており、富の再分配ではなく富の創造によるトリクルアップを主張します。資金を持つ企業が資金を預け入れ、その収益を一緒に分配する仕組みです。一見すると企業側が収益を分配せずに独り占めした方が経済合理性があるように見えますが、GoodDollarのエコシステムが醸成されていくと、G$の流動性も向上し価値も上昇します。よって、企業側が資金を預け入れてG$報酬を受け取ることも資産運用の1つとしての経済合理性も存在します。この仕組みを指して、富の共同創造であり、トリクルアップと呼んでいます。

続いて、利用者側のフローも見ていきます。誰でも簡単に登録してG$を請求することができます。受け取りにはGoodWalletが必要ですが、その際に1人の個人であることを認証するためにカメラによる認証があります。AIやBotが無尽蔵にアカウントを作成することを防ぐためです。

参照:GoodDollar

ここからアカウントを作成するとG$を受け取ることができるようになります。イメージは、サムアルトマンが提供するWorldcoinに近いですね。本人確認をした後でUBIを毎日配布していくプロジェクトです。Worldcoinとの違いは、Worldcoinの発行するトークン$WLDは担保がない暗号資産であることに対して、GoodDollarは準備資金を担保にしたトークン発行を行っています。

気候変動に対処するGoodCollective

ここまでを整理するとGoodDollarはブロックチェーンを活用したUBIプロジェクトで、投資家などの企業が預け入れた資産による利回り報酬を担保にG$を発行し企業側への報酬と世界の貧困に喘ぐ人へ配布しています。G$はUniswap等で他の暗号資産にスワップできますし、G$を軸にしたDappsの構築も可能です。

参照:GoodDollar

その中の1つである「Good Collective」について紹介します。「Good Collective」は気候変動を抑制する団体への寄付(支援)を目的としたプロジェクトです。G$だけでなく、Celo上のあらゆる暗号資産でプロジェクトへの支援をすることができます。気候変動に取り組むプロジェクトは申請の上で受理されたらHP上に紹介され、そこから寄付を受け付けることができるようになります。

気候変動による影響は世界的に起きていますが、アフリカなどの貧困地域で深刻な影響が出ている地域も存在します。そういった地域をサポートするプロジェクトを支援するプロジェクトで、GoodDollarコミュニティの中で興味を持った人々が支援します。

GoodDollarの展望は?

GoodDollarは2020年からスタートし、先述したようにすでに世界181カ国に広がっています。その運営も分散化してきています。最初からトークン発行はスマートコントラクトによって規定されていましたが、運営用のガバナンストークン$GOODも発行され、運営自体も分散化されてきています。G$をステーキングすることで$GOODを獲得でき、GoodDAOに参画し、GoodDollarの方向性に対しての意見や投票に参加することができます。

世界の貧困や経済格差は世界の大きな問題の1つです。そしてその解決策の1つとしてUBIは非常に効果があると言われています。その上で、ブロックチェーンを活用してUBIを配布することは非常に親和性が高いです。

GoodDollarのプロジェクト然り、準備資産があるとはいえ、新規発行されたトークンは運営されてきた歴史や流動性、保有者数が一定を超えるまではまだまだボラティリティが高い資産として認定されてしまうので、少しずつ保有者が増え、発行数が増えていくことでGoodDollarの影響力も増していくことが想定されています。G$保有者が増えればそのトークンを活用したDappsも生まれてさらに利用用途が広がっていく好循環が生まれますので、今後の発展が非常に楽しみです。