衛星画像とAIによる解析でカーボンクレジットを発行する「Carbontribe」とは?

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参照:Carbontribe

目次

  1. Carbontribeとは?
  2. Carbontribeのサービスとは?
  3. Carbontribeの変遷と展望は?

Carbontribeとは?

Carbontribeは森林やマングローブなどの衛星画像をコンピュータビジョンAIによって解析を行い、 CO2吸収量のベースエミッションを算出するdMRVとブロックチェーンを掛け合わせた企業です。Carbontribe Labsによって運営されている「自然を守って稼ぐ」プロトコルであり、森林、土壌、生物多様性の炭素吸収能力を取引可能な価値に変換し、代替経済を創出することを目的としています。

パリ協定で定められた2050年のカーボンニュートラルのゴールに向けて各国がCO2排出量の削減に取り組んでいる中、カーボンクレジットによるオフセットが1つのソリューションとして注目されています。しかし、カーボンクレジットには生成とモニタリングに手間と高額なコストがかかるという問題を抱えています。具体的に言うと、カーボンクレジットの生成には現地調査やレポート作成、第三者機関による認証が必要で、プロセスごとに時間と費用がかかります。海外の事例を含めると生成だけで数百万円〜数千万円の費用が発生し、クレジット発行までに2〜5年の認証プロセスが必要とされています。このような状況で小規模の森林保有者や農家がカーボンクレジットを発行し、新たな収入源をつくることに大きなハードルがあり、一部の巨大企業しか関われない市場となっていました。

そのような背景がある中、Carbontribeは衛星画像と独自のコンピュータビジョンAIを使ったdMRVのアプローチにより、カーボンクレジット生成のプロセスを簡略化し、少ない費用と時間でカーボンクレジットが発行できる仕組みを作っています。従来のカーボンクレジット発行では現地に調査員が出向き、人力で CO2吸収量の計測を行ったり、センサーやドローンによって森林を計測する手法が使われていました。しかし、Carbontribeでは衛星画像とAIを使うことで森林計測のコストを圧倒的に削減することができ、dMRVによる低コスト化に取り組んでいます。

Carbontribeのサービスとは?

では、Carbontribeが提供するサービスについて見ていきます。

Sota Computer Vision AI

Carbontribeが提供するSota Computer Vision AIは衛星データ、生物多様性データから学習し、デジタルツインによって土地のCO2吸収能力を予測することができます。


Google Earth Engineなどの衛星画像を使って、森林やマングローブの CO2吸収量のベースミッションを算出しています。

ESGPT

Carbontribeはカーボンニュートラルに取り組む企業向けにESGPTを提供しています。パリ協定によって、多くの企業は環境問題への対応を迫られており、ESG専門家の知識を必要としています。ESGPTは最先端の人工知能(AGI)技術に基づいて構築されたAIエージェントで、特にESGコンプライアンスをサポートするように設計されています。ユーザーはURLやPDFなどのソースと合わせてESGPTに質問をすることで、専門的な情報を得ることができます。

Eco Citizen Token

Eco Citizen TokenはSota Computer Vision AIによって計測された森林のCO2吸収量によってCarbontribeが発行されるトークンです。Lightpaperに詳しい記載がされていませんでしたが、VERRAやゴールドスタンダードなどの発行主体と連携して、CarbontribeのコンピュータビジョンAIと衛星画像を使って生成したカーボンクレジットをトークン化する仕組み、もしくはCarbontribeの独自ルールによってカーボンクレジットを生成する構想が考えられそうです。

Carbontribeの変遷と展望は?

参照:Carbontribe

Carbontribeはエストニアを拠点としたReFiスタートアップで、日本人メンバーで構成されています。CEOの矢野さんはSalesforceとGoogleで法人向けビジネス開発の経験を経て、日本、エストニア、ドイツで起業経験を持つシリアルアントレプレナーです。

2024年2月に東京電力パワーグリッドと中部電力、ICMG Partners Pte Ltdの合弁会社であるGreenway Grid Global Pte Ltd(GGG社)と将来株式取得略式契約を締結しています。GGG社とCarbontribeはコンピュータビジョンAIによるカーボンクレジットの生成やクレジットのNFT化実証を進めているようです。

カーボンクレジットを活用したReFiプロジェクトは大きく分けて、発掘、生成、取引という3グループに分けることができます。「発掘」ではカーボンクレジットを生成するまでのプロセスを担当し、「生成」はカーボンクレジットの発行、「取引」はカーボンクレジットの取引プラットフォームやオフセットツールを指します。Carbontribeは「発掘」に位置付けることができ、カーボンクレジットの価値の源泉となるCO2吸収量の計測という重要な役割を果たしています。

Carbontribeのアプローチによって従来のカーボンクレジットの生成方法では採算が取れなかった森林や農家のオーナーがカーボンクレジットを発行できるようになります。カーボンクレジットはCO2の削減だけでなく、森林や農家を所有するオーナーへの新たな収入源という側面があるため、Carbontribeが提供するdMRVによって貧困の解決にも繋がる可能性があります。衛星画像とAIによる解析という革新的な手法でカーボンクレジットとReFi市場の発展に大きく寄与する企業だと思うので、今後も注目していきたいと思います。