IOTとブロックチェーンで分散型の再生可能エネルギーネットワークを構築する「Arkreen Network」とは?

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目次

  1. Arkreen Networkとは?
  2. Arkreen Newworkの仕組みは?
  3. Arkreen Networkの変遷と展望は?

Arkreen Networkとは?

Arkreen Networkはブロックチェーンを活用し再生可能エネルギーのためのIaaS(Infrastructure-as-a-Service)ソリューションを提供するプラットフォームです。

まず簡単に「再生可能エネルギー」を説明します。私たちは経済合理性だけを追い求め環境負荷の高い経済活動を行ってきた時代から持続可能(サステナビリティ)で地球環境へ配慮した社会を目指す方向へシフトしています。
そのような時代の中で再生可能エネルギーは重要な役割を果たしており、石炭や石油、天然ガスなどの化石エネルギーを使ったCO2を大量に排出する発電ではなく、風力や太陽光、地熱といった自然界に常に存在するエネルギーを使うことでCO2の排出を防ぎながら電力の発電を行うという動きが強まっています。

実際に、世界の温室効果ガス排出量のうち75%をエネルギーが占めており、脱炭素社会実現のためにエネルギー問題は早急に解決せねばなりません。

そのような背景の中で生まれたのが、Arkreen Networkで彼らはブロックチェーンを使うことで自然エネルギー供給者に対して新たなインセンティブの仕組みを提供しています。

再生可能エネルギーによる発電方法は大きく分けて2つあり、太陽光発電所や風力発電所などで利用される「集中型再生可能エネルギー」と屋上のソーラーパネルや蓄電池などで利用される「分散型再生可能エネルギー(DER)」があります。

DERとは従来の大規模な発電所からのエネルギー供給ではなく、小規模な発電設備(ソーラーパネルや蓄電池など)によって利用されるエネルギーのことを言います。DERには安定的なエネルギー供給が行えるという最大の特徴があります。どういうことかと言うと、大規模発電所による電力供給は単一集中型になっており自然災害などによって停電が発生するリスクが常に備わっています。DERは小規模な発電設備によって物理的に分散されているので、自然災害などの不足の事態が発生した際に、一部が影響を受けても全体のシステムは持続可能な電力供給を維持することができます。

しかし、現在の再生可能エネルギーによって発電された電力は大半が集中型再生可能エネルギーの方法に依存しており、今後DERの方法による発電量を増やしていく必要があると考えられています。

Arkreen NetworkはDERによる発電にフォーカスしており、テクノロジーを活用することで市場へ新たな価値をつくり出しています。具体的にはIOT(Internet of Things)とブロックチェーンを活用することで効率的なデータの収集と共有、データの安全性と透明性、トークンエコノミーによる新たなデジタル経済圏をDERへもたらします。要するに、再生可能エネルギーによって電力発電を行う機器をインターネットへ繋ぎリアルタイムでデータの収集と共有を行い、ブロックチェーンによってデータの改竄を防ぐことで安全性を向上させ、トークンエコノミーで参加者へインフラに貢献するインセンティブを与えることでネットワークを維持しているという仕組みになります。

Arkreen Newworkの仕組みは?

Arkreen Networkではエネルギーを供給するSupply Sideと消費するDemand Sideの2つに分かれています。

Supply Side

Supply Sideの参加者はArkreen Networkへ再生可能エネルギーの電力をどれだけ発電、貯蔵、消費したかのデータを提供します。ネットワークは参加者の貢献に応じて報酬を与えるという仕組みになっています。

具体的にはRemote MinerとStandard Minarに分かれています。(Gaming Minerは既に終了)

Remote Minerはその名の通り、リモートで稼働するマイナーのことでソーラーパネルなどの小規模設備で発電を行う事業者によって接続されたIOTデバイスから送られてきたエネルギーデータ容量を0.1kWずつ複数のものに分割する役割を担っています。

Standard Minarは小規模発電設備の所有者がArkreen Networkへエネルギーのデータを提供するために接続したIOTデバイスのことを指します。このデバイスによって、Arkreen Networkへデータを送信し、エネルギー施設の運用を監視し、Arkreenプラットフォームから報酬を得ることができます。

Demand Side

Demand Sideの参加者は、Arkreen Networkを使って電力データにアクセスし、それに基づいてアプリケーションやサービス(再生可能エネルギー証書発行や仮想発電所)などを構築したり、Arkreen Networkが提供するSmart Plugと呼ばれる製品を使って家庭の電化製品の消費電力を節約したりすることができます。

Smart Plugによって電化製品の消費電力量を計算し、遠隔から電力供給をスケジュールすることができます。ユーザーは、グリーンアクションに参加するために、Smart Plugを使うことでエアコンなどの電化製品に電力を供給し、電力消費を節約することが可能となります。

Arkreen Networkの変遷と展望は?

Arkreen Networkは現在Phase 0のテストネットの段階で、今後はソーラーパネルによるエネルギー供給から順にメインネットを公開していく予定となっています。

また、ガバナンストークンであるAKREの発行も計画しており、以下がアロケーションの詳細です。

参照:What is AKRE?

AKREはERC-20規格で最大供給量は100億AKREとなっております。AKREはネットワークに貢献する参加者への報酬として払われるほか、ネットワークで発生する取引手数料、Arkreen Networkが提供するグリーンエネルギーデータサービスを利用するための外部エンティティへの支払いにも使用できます。

今回Arkreen Networkをリサーチするにあたって、改めてIOTとブロックチェーンの相性の良さを感じさせられました。IOTによってデータをリアルタイムで収集し、ブロックチェーンによる改竄不可能なデータ管理とトケノミクスで貢献者へのインセンティブ設計を行うことで今後さまざまなユースケースが生まれてくると予想できます。これからますます多くのデバイスがインターネットに接続され、今までデータとして取得しきれなかったあらゆるものがデータとして可視化され、価値を持つ時代になります。

Arkreen Networkはそのような時代の中でDER市場の可能性にいち早く目をつけ、再生可能エネルギーを使った発電を物理的に分散で行い、分散型のネットワークを構築することで参加者にインセンティブの仕組みと安定した電力供給、消費電力の削減といった価値を提供しています。これはまさにブロックチェーンとIOTでしか実現できないモデルとなっているため今後のArkreen Networkの動向に注目していきたいと思います。