【元トレーダーが解説】SBI VCトレードがTAOTAOを買収するメリット

証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。

目次

  1. SBI VCトレードの現状
  2. TAOTAO買収によるSBI VCトレードのメリット
  3. SBI VCトレードがTrade Blotterを導入する可能性
  4. SBI VCトレードの将来性は高い

SBIホールディングスがZコーポレーション傘下で暗号資産取引所を運営するTAOTAOを買収しました。SBIグループは「SBI VCトレード」で暗号資産の取引サービスを展開していますが、TAOTAOの買収によってSBIの更なるサービス拡大が予想されます。

ここではSBI VCトレードの現状とTAOTAO買収の思惑や今後考えられる影響について、考察したいと思います。

①SBI VCトレードの現状

SBI VCトレードは現在、販売所(VCTRADE)と取引所(VCTRADE PRO)を設けていますが、どちらもビットコイン、リップル、イーサリアムの3銘柄のみを取り扱っています。SBI SHO特に、SBI VCトレードの販売所のスプレッドは業界最狭水準で、他社と比べてかなり競争力があります。販売所のスプレッドについてはSBIホールディングスの決算発表資料でも説明がされています。

販売所のスプレッドに強みがあり、取引所も備えるSBI VCトレードですが、欠けているサービスが「レバレッジ取引(FX取引)」です。

レバレッジ取引は日本で人気が高く、暗号資産売買高の9割を占めています。現状、レバレッジ取引市場の流動性のトップシェアを占めているのはbitFlyerです。またGMOコインやDMM Bitcoinもレバレッジ取引を提供しており、どちらもFX(外国為替証拠金取引)のマーケットで1位2位を争うトップ企業なので、事業ノウハウ、マーケティングの面でもアドバンテージがあります。

SBIにもSBI FXトレードがありますが、SBI VCトレードはこれまでレバレッジ取引所を提供していませんでした。これがSBI VCトレードの現状です。

それでは次にTAOTAO買収によってどのようにサービスが変化するのか考察したいと思います。

②TAOTAO買収によるSBI VCトレードのメリット

それでは、SBI VCトレードにTAOTAOの機能が加わると、どのようなメリットがあるのか考えてみたいと思います。

SBI VCトレードがTAOTAOと合併することでまず考えられるのはレバレッジ取引の導入です。TAOTAOはZコーポレーションのFX事業のノウハウを活かして、既に暗号資産のレバレッジ取引を提供しています。

レバレッジ取引というのは、運営企業にとって現物ほどコストがかからないという利点があります。現物取引の場合、取扱銘柄数を増やすことで暗号資産のトランザクションが発生するのでコストがかかります。ネットワークの管理コストであったり、ウォレットのセキュリティコストであったりと、運営側としては負担が大きくなります。しかし、レバレッジ取引の場合は原資産を保有する必要がないので、これらのコストをカットできます。

レバレッジ取引は差金決済取引なので、レートの変動によって生じた利益・損失分の日本円だけを受け渡せば良いということです。

現状、暗号資産の取引に慣れているユーザーの多くが、レバレッジ取引や暗号資産FXを行っています。そのため、SBI VCトレードとしてはTAOTAOのレバレッジ機能をそのまま利用できるという点ではメリットが大きいと言えます。

TAOTAOは現在レバレッジ取引の通貨ペアを5種類提供しています。この機能がそのままSBI VCトレードでも利用されるかもしれません。

③SBI VCトレードがTrade Blotterを導入する可能性

次に紹介するのはTrade Blotterという機能です。

これはTAOTAOの一番の強みとも言えるものであり、これを利用したいためにTAOTAOに口座を開いている人も多いと思います。下記がTAOTAOのTrade Blotterの画面です。Trade Blotterこれは、トレーダーがどの価格帯でポジションを構築したのか、そしてどれ程のポジションが積み上がっているのかを示したものです。つまり、一定の価格帯を突破すると相場が動き始めるかの目安が視覚的に把握できるものです。

よく、節目を突破すると相場が大きく動くことがあります。そのような動向の背景には、ポジションが積み上げられた価格帯を突破した時に起こるストップロスの連鎖があります。ポジションを解消するためには反対売買を行うため、下落時には「ロングポジション解消の売り」、上昇時には「ショートポジション解消の買い」が続き、急変動を助長しています。

また、右側のグラフは現在出されている指値注文の位置になります。指値注文が多いラインはそこで相場が止まりやすいということになります。また投資家がどの位置に注目しているのかということも視覚的に把握できるようになります。この手前で指値注文を置いておき、そのラインを突破すると損切りという単純なトレードアイデアも浮かぶことでしょう。

これら2つの機能がSBI VCトレードで採用されると、ユーザービリティをかなり高めると言っても過言ではありません。現状、Trade Blotterは国内の暗号資産取引所にないサービスなので、SBI VCトレードでこれが採用されるとユーザーベースの拡大に寄与することになるでしょう。

トレーダー、投資家にとって、マーケットの注文動向やポジション動向を把握するということは必須事項です。この点を怠るとトレードで知識があったとしても負ける可能性が高いと筆者は考えています。
しかし、マーケットの動向を把握する方法というのは難しく、経験に依存する部分も大きいものでした。

SBI VCトレードがTrade Blotterを導入しSBI VCトレードの投資家動向もデータ化されるようになると、日本市場のトレーダーのポジションを把握する上で有用なツールとなるでしょう。

④SBI VCトレードの将来性は高い

SBI VCトレードは現在でも色々なキャンペーンを打ち出しながらユーザー獲得に向けて努力しています。特に、XRPのマーケティング施策やリップル社との連携についても目を見張るものがあります。

SBIホールディングス代表取締役社長CEOの北尾吉考氏は、リップル社の外部役員として就任しており、日本でブロックチェーンや暗号資産を普及させようと精力的に活動している人物です。

そのためSBIホールディングスによるTAOTAOの買収は、SBI VCトレードにとって様々なメリットや相乗効果が期待できそうです。今後のSBI VCトレードの将来性を見越して、口座開設を行い準備しておくのも良いでしょう。これからのSBI VCトレードの変革に注目しましょう。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。証券アナリスト資格保有 【運営サイト】FXの車窓から