複数の暗号資産取引所で行うビットコインのアービトラージ取引について解説

12月1日時点にビットコインの価格が200万円に到達しており、2018年1月以来の高水準となっています。2017年12月に記録したビットコインの過去最高値(231万2100円:bitFlyer)を越えれば、青天井相場に突入するため、市場の期待は益々高まっています。 

国内の暗号資産取引所の口座開設数は増加傾向にあり、市場参加者の増加により取引所毎のビットコインの価格差が開き、アービトラージ取引の機会も生じました。アービトラージ取引はリスクを低減しながら利ざやを稼ぐ際に利用する手法です。この記事ではビットコインのアービトラージ取引について解説します。

目次

  1. アービトラージ取引とは?
  2. アービトラージ取引の方法
    2-1. 取引所に日本円とビットコインを用意
    2-2. 価格差が発生したタイミングで購入と売却を行う
  3. アービトラージで注意するべきこと
    3-1. ある程度まとまった資金を要する
    3-2. ビットコインの為替リスク
  4. アービトラージで利用する取引所は?
  5. 国内の代表的な暗号資産取引所
    5-1. ビットコインの取引手数料が無料のコインチェック
    5-2. 24時間365日手数料無料で即時入金ができるGMOコイン
    5-3. 独自の新機能「BitMatch注文」を備えるDMM Bitcoin
    5-4. ビットコイン取引量No.1!bitFlyer
  6. まとめ

⓵アービトラージ取引とは?

国内に暗号資産(仮想通貨)取引所は複数ありますが、同じ銘柄が同じ価格で売買される公開市場ではないため、取引所毎に異なる価格を付けていることが一般的です。そうした取引所間の売買価格差を利用して利益を得ようとするトレード方法が「アービトラージ取引」と呼ばれています。

アービトラージ取引は日本語で「裁定取引」と呼ばれ、取引所間の価格差(市場の歪み)を利用して低いリスクで利益を得ようとする取引手法です。

つまり同じビットコインでありながら取引価格がズレているタイミングを見つけ、価格の安い取引所でビットコインを購入し、高い取引所で売却を行い利ざやを稼ぐ動きとなります。アービトラージは価格変動リスクがゼロで収益を狙える魅力的な取引方法です。

②アービトラージ取引の方法

アービトラージは2つの取引所間で価格差があれば実行可能ですが、その価格差が生じている時間は短いことが多いため迅速な対応が必要です。国内の暗号資産の価格一覧サイト等を利用して、まずはどのくらいの価格差が出ているのかを把握する必要があります。

Arbitrage
こちらは「CoinChoice」というサイトです。国内取引所毎の売買レートが表示され、最も価格差が開いている取引所が下部に抽出されています。それでは、実際のアービトラージ取引の手順を説明します。

2-1. 取引所に日本円とビットコインを用意

事前に取引所の口座開設を済ませておき、2つの取引所で日本円とビットコインを同量ずつ保有した状態を作ります。

例えば、コインチェックに日本円を100万円入金し、ビットコインを50万円分購入します。GMOコインにも日本円を100万円分入金してビットコインを50万円分購入します。これで2つの取引所に同じ資産を同じ割合で保有した状態となり、アービトラージの準備が完了となります。

2-2. 価格差が発生したタイミングで購入と売却を行う

価格が大きく変動した場合にビットコインを購入する取引所と、ビットコインを売却する取引所を決めます。5,000円〜10,000円などある程度の価格差が出たら、価格の安い方(A)でビットコインを買い、価格の高い方(B)ではビットコインを売るということです。アービトラージ取引において2つの取引所でビットコインの「購入」と「売却」は同時に行う必要があります。その後、取引所Aのビットコインを取引所Bへ送金し、Bの日本円を銀行経由でAへと移します。このように資金を循環して、利ザヤを積み上げていきます。

③アービトラージで注意するべきこと

3-1. ある程度まとまった資金を要する

アービトラージ取引のチャンスが訪れた時に対応できるように、取引所の口座開設を済ませておく必要があります。また複数の取引所に資産を分散するため相応の資金力が必要になり、同時にカウンターパーティリスク(取引所に資金を預けるリスク)を抱えることになります。

安い取引所でビットコインを買い、より高い価格がついている取引所にビットコインを送って売却すればいいのではないか?と思われる方もいるかもしれません。しかし取引所によるビットコインの出金対応には数時間かかる場合もあります。安いところで購入しても、売却するまでの間に価格が変動し、アービトラージが成立しない可能性が高くなります。

ビットコインのボラティリティが低い期間にはアービトラージの機会も減少するので、資金を常に準備していると資金効率が悪くなることになります。取引所の即時入金などを利用して都度対応する体制を整えておくのも有効です。

3-2. ビットコインの為替リスク

仮にアービトラージで2%の利益を出したとしても、ビットコインの為替差損で2%以上の損失を被った場合は、トータルでマイナスのため運用の意味がありません。仮に1BTC分を現物で保有した場合は、レバレッジFXで1BTC分をショートしておくことでリスクヘッジができます。これで円建てでビットコインが下落しても利益が出るため、損益は0のままになります。

④アービトラージで利用する取引所は?

取引所間の価格差が発生する要因は主に「取引所の流動性の違い」によるものです。流動性の高い取引所の価格変動幅は、流動性が低い取引所と比較して小さくなります。これらの傾向は、売買板に並ぶ注文のサイズで見分けることができます。

売買板の注文量が少ない「流動性の低い」取引所は、相場急変時の注文を消化できないため、大口の成行注文が入ると市場価格から遠い注文まで約定する場合があります。チャート上で「ヒゲ」が形成されますが、取引量が少ないことが主な原因です。「なぜ価格差が生じるのか?」という理由を理解しておくことで、アービトラージで利用する取引所選びにも活かすことができます。

⑤国内の代表的な暗号資産取引所

アービトラージは複数の取引所の口座開設が前提となります。どの取引所がアービトラージがしやすいのかは、それぞれ口座開設をして利用しながら傾向を掴むようにしましょう。

5-1. ビットコインの取引手数料が無料のコインチェック

Coincheck
コインチェックはマネックスグループ株式会社の子会社であるコインチェック株式会社が運営している暗号資産取引所です。本人登録済みのユーザー数は99万口座で、国内No.1(2020年7~9月期のマネックスグループ決算より)となっています。

コインチェックの販売所は、国内で最多となる14種類の暗号資産(ビットコイン、XRP、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、XEM、イーサリアムクラシック、リスク、ファクトム、ライトコイン、モナコイン、ステラルーメン、クアンタム、BAT、IOST)を取り扱っています。いずれも500円相当の少額から購入することができ、直感的に操作ができるIU(ユーザーインターフェイス)が特徴的です。

コインチェックの取引所は手数料無料で利用でき、初心者にも簡単に取引できるようシンプルに設計されているのが特徴です。取引所で利用できる暗号資産はビットコイン(BTC/JPY)とファクトム(FCT/JPY)、イーサリアムクラシック(ETC/JPY)、モナコイン(MONA/JPY)ですが、今後も随時追加されていく模様です。

5-2. 24時間365日手数料無料で即時入金ができるGMOコイン

bitFlyer
GMOコインは東証一部上場のGMOインターネットのグループ会社です。GMOクリック証券の金融サービス提供で培われたノウハウやセキュリティ管理体制などが、GMOコインのサービスにも活かされています。

GMOコインは、販売所および暗号資産FXでBTC、ETH、XRP、LTC、BCH、XEM、XLM、BAT、OMG、XTZの10種類、販売所では前述の10種とQTUM、ENJを含む12種類の通貨を取り扱っています。

GMOコインは日本円の出金手数料と、暗号資産の入出金手数料が無料です。またGMOあおぞらネット銀行、ジャパネット銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行から24時間365日、手数料無料での即時入金が可能で、アービトラージ取引にも利用しやすくなっています。

5-3. 独自の新機能「BitMatch注文」を備えるDMM Bitcoin


「DMM Bitcoin」は、株式会社DMM.comのグループ会社である株式会社DMM Bitcoinが運営する暗号資産取引所です。DMM.comはグループ会社で10年近く金融サービスを提供した実績もあるため、DMM Bitcoinにおいてもグループ会社の金融ノウハウを活かした運営が行われていることが特徴です。

DMM Bitcoinは2Wayプライス方式の「販売所」に特化しており、現物取引とレバレッジ取引を提供しています。販売所はスプレッド(売買価格差)がデメリットとなり、これを解消するための新機能として独自に「BitMatch注文」を開発しました。BitMatch注文は、発注から30秒以内に顧客の注文がマッチングした場合に限り、販売所で提示される買値と売値のミッド(仲値)価格で取引が成立する注文方法です。ただし、30秒以内に他の注文と対当しなかった場合は、成行にて時価で約定します。BitMatch注文の普及によって販売所のスプレッドの課題が改善されることも期待されます。

DMM Bitcoinでは、現物取引に対応している暗号資産は3種類(ビットコイン、イーサリアム、XRP)です。一方、レバレッジに対応している暗号資産は11種類(ビットコイン、イーサリアム、XRP、ビットコインキャッシュ、ライトコイン、ネム、イーサリアムクラシック、ステラルーメン、モナコイン、クアンタム、BAT)となっています。

DMM Bitcoinの日本円のクイック入金は24時間365日利用可能で、銀行手数料も含めて入金手数料が無料です。また、暗号資産の入出庫にかかる手数料も無料と便利です。

5-4. ビットコイン取引量No.1!bitFlyer


株式会社bitFlyerが運営する暗号資産取引所bitFlyerは、国内の主要メガバンクやベンチャーキャピタル(SMBCベンチャーキャピタル、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJキャピタル等)から出資を受けています。

bitFlyerの販売所は、11種類の暗号資産(ビットコイン、イーサリアム、XRP、ビットコインキャッシュ、ライトコイン、リスク、イーサリアムクラシック、モナコイン、BAT、ステラルーメン、ネム)を取り扱っています。少額投資が可能で、ビットコインの最小注文数は0.00000001 BTCとなっています。

bitFlyerは、取引所サービスとしてビットコイン取引所(簡単取引所)と bitFlyer Lightningを提供しています。bitFlyer Lightningは高機能取引ツールを利用できる取引所で、ビットコイン・イーサリアム・ビットコインキャッシュの現物取引と、ビットコインのレバレッジ取引に対応しています。現物・差金決済・先物取引を含むbitFlyerのビットコイン取引量は国内No.1となっています(2019年総月間出来高、Bitcoin日本語情報サイト調べ)。

⑥まとめ

アービトラージ取引は複数の取引所で別々の価格を付けるという暗号資産市場の特性を活かした戦略です。少しでも確実に利益を出すことからスタートして、どの取引所の組み合わせでアービトラージ取引を実行し易いのか、それぞれの口座を開設して利用しながら傾向を掴むようにしましょう。最初は流動性が高い取引所をメインに使用し、成功体験を積みながらアービトラージの方法について慣れていくと良いでしょう。

暗号資産取引所では緊急メンテナンスや万が一の取引制限などでアクセスできない場合もありますので、複数の取引所に口座を開設しておくことで、いつでも取引できる状況にしておくことにもなります。暗号資産取引所の口座開設は無料でできますので、これを機に各社の取引サービスを実際に確認してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 暗号資産・ブロックチェーンチーム

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HEDGE GUIDE 編集部 暗号資産・ブロックチェーンチームは、暗号資産投資やブロックチェーンなどフィンテックに知見が深い編集部メンバーで構成。最新のニュースやコラム、暗号資産に関する基礎知識を初心者向けにわかりやすく解説しています。