公海の生物多様性を守る初の国際協定、来年1月発効へ

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国連は9月20日、公海の生物多様性の保全と持続可能な利用を目指す「国連公海等生物多様性協定(BBNJ協定)」が、来年1月17日に発効すると発表した。国際法で規制されてこなかった公海における生物保護を定める初の協定となり、海洋環境の保全に向けた歴史的な一歩となる。

BBNJ協定は、発効に必要な60か国の批准を条件としていたが、9月19日にモロッコとシエラレオネが批准したことでこの要件を達成した。日本も5月に批准に向けた国会承認を得ている。この協定は、約20年前から検討が続けられてきたものだ。

協定が発効すると、公海に活動を制限する海洋保護区を設定することが可能になるほか、海底資源の掘削などを念頭に置いた環境影響評価の実施が義務付けられる。また、医薬品開発などに利用される海洋遺伝資源から得られた利益の一部を、途上国の支援に充てる規定も盛り込まれている。

この協定は、2022年の国連生物多様性条約第15回締約国会議で合意された、2030年までに世界の陸と海の30%を保全する「30by30」目標の達成に向けた大きな前進と期待されている。これまでルールが存在しなかった広大な海域に国際的な枠組みが導入されることで、持続可能な海洋利用と生態系保全の両立が目指される。

【参照記事】国際法で規制されない「公海」、国連が生物保護を定める初の協定…来年1月の発効後は活動制限も

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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