科学的根拠に基づく目標イニシアチブ(SBTi)は9月15日、企業のネットゼロ基準(Corporate Net-Zero Standard)と短期目標基準(Corporate Near-Term Criteria)の改訂版を公開した。今回の改訂では、温室効果ガス(GHG)プロトコルとの整合性向上や、化石燃料関連の排出量算定に関する義務的ターゲットへの例外規定の導入などが盛り込まれた。
改訂された基準はそれぞれバージョン1.3および5.3となり、即日適用が開始された。SBTiの企業基準責任者であるエマ・ワトソン氏によると、今回の変更は「非実質的」なもので、企業の目標設定方法や野心度に大きな影響を与えるものではないという。主な目的は、関連フレームワークとの整合性向上と、企業の誤分類防止にある。
特に注目されるのは、化石燃料の販売・輸送・流通に関する基準(NZ C37およびNT C22)の改訂だ。新たに導入された例外規定では、ライターやキャンプ用ガスカートリッジなど少量の化石燃料製品を販売する企業について、スコープ3カテゴリー11の排出量が総スコープ3排出量の1%未満かつ10万トンCO2換算未満の場合、化石燃料関連の目標設定を免除することとした。これにより、主要事業が化石燃料と関連しない企業の適切な分類が可能になる。
その他の主な改訂内容として、生物起源の排出量算定要件の更新(NZ C11およびNT C10)、目標年の明確化(NZ C17およびNT C13)、2030年を短期目標年として選択することの推奨(NZ R6)、建築セクターにおける目標設定手法の明確化などが含まれている。SBTiは、既に目標を設定済みの企業に対しては再提出や調整は不要としており、現在開発中のバージョン2.0への影響もないと説明している。
【参照記事】What’s new: minor updates to enhance usability across SBTi target-setting resources
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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