9月8日、観光業界の持続可能性推進を手がける米国の非営利団体Tourism Caresとタイ政府観光庁(TAT)は、バンコクとクラビで「2025年グローバル意義深い旅サミット(Global Meaningful Travel Summit)」を開幕した。アジア初開催となる今回のサミットには、世界から40人以上の旅行・観光業界の幹部、アドバイザー、メディア、業界団体関係者が参加し、1週間にわたって持続可能な観光の実践事例を共有する。
第5回目を迎える同サミットは、持続可能なサプライチェーンの構築、地域事業者への新たな機会創出、責任ある観光基準の業界教育を目的としている。今回は特に、タイのコミュニティ主導型観光戦略を世界の観光業界リーダーへのモデルケースとして紹介することに焦点を当てている。プログラムでは、コミュニティへの影響、教育的交流、没入型体験、実行誓約という4つの重点分野を設定し、参加者は地域の観光事業者との連携構築や、自社の事業運営における持続可能性の実装方法を学ぶ。
タイ政府観光庁は過去2年間、Tourism Caresとの協力を通じて持続可能な観光への投資を強化してきた。2023年には「タイ意義深い旅マップ」を立ち上げ、文化遺産保護、環境保全、再生型実践に取り組む全国45以上の組織を紹介している。サミット参加者は、バンコクのBang Korbua観光クラブやクラビのBan Nai Nang村、Laem Sak村など、草の根レベルで観光を通じた地域活性化に成功している事例を実地で体験する機会を得る。これらの地域では、文化的伝統の保護、自然資源の回復、観光を通じた新たな雇用創出が実現されている。
Tourism CaresのCEOグレッグ・タケハラ氏は「タイは沿岸の村から環境重視のビジネスまで、地域住民が観光を経済的、環境的、文化的インパクトを生み出す手段として革新的に活用している」と評価。タイ政府観光庁のチラヴァディー・クンスブ副総裁は「コミュニティ主導の観光が文化遺産を保護し、自然資源を守り、観光の恩恵をすべてのコミュニティに行き渡らせることができることを示す機会」と述べた。観光業界における政府、民間企業、地域事業者間の官民連携の重要性が高まる中、本サミットは持続可能な観光モデルの実践的な知見を世界に発信する場となっている。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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