製品ライフサイクル管理(PLM)ソリューションのリーダー企業であるAras社は2025年6月3日、最新調査レポート「PLMとデジタルエンジニアリングの未来」の結果を発表した。この調査は、欧州、米国、日本の自動車、航空宇宙、機械製造業(売上高4000万ドル以上)の経営幹部656名を対象に2025年1月に実施された。
調査結果によると、組織の92%が「成功した持続可能性プログラムはビジネスの成功に不可欠」と回答し、2024年の87%から増加した。特に注目すべきは、PLMユーザーの88%が自社システムが持続可能性コンプライアンスを適切にサポートしていると考えているのに対し、非PLMユーザーは60%に留まった点だ。
Aras社のCEOであるRoque Martin氏は、「今日の持続可能性は、規制コンプライアンスと業務の卓越性を整合させることにある。持続可能な実践を日常業務に組み込む組織は、要件がどのように進化しても、適応し、競争し、成長するためのより良い位置につけている」と述べている。
PLMユーザーは、製品データの追跡、サプライヤーとの協力、EUの企業サステナビリティ報告指令(CSRD)やデジタル製品パスポートなどの複雑化する規制への対応において、より高い能力を示している。また、PLMユーザーの87%がAIを製品開発に活用しているのに対し、非ユーザーの採用率は59%に留まっている。
一方で課題も浮き彫りになった。コンプライアンス・イニシアチブが「十分にサポートされている」と回答したのは37%のみで、18%はシステムが不適切であることを認めた。主な課題として、データの欠落や品質の低さ、ツールの分断、監督体制の欠如が挙げられている。
この調査結果は、PLMがエンジニアリング領域を超えて、デジタル変革の戦略的基盤として進化していることを示している。規制要求が増加する中、企業は競争優位性を構築するために、システムの近代化とデータ基盤の強化に取り組む必要があることを示唆している。
【参照記事】Nine Out of Ten Organizations Say Sustainability Efforts Drive Business Success
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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