中国の中国人民銀行(PBoC)が昨年公表した国発行のデジタル通貨(以下CBDC)について、中央銀行の仮想通貨分野における研究責任者であるヤオ・キアン(Yao Qian)氏は、仮想通貨的な暗号化要素を組み込むべきであると発言している。中国メディアのYicai.comが3月6日付で報じた。
同氏は「現段階で、CBDC発行計画は主に法定通貨のデジタル化に焦点が当たっているが、元からあるものをただデジタル化するだけではCBDCの長期的な競争力を損なう恐れがある。」と指摘している。さらに、金銭取引におけるプライバシー性を高められるような暗号化の機能は、将来の通貨をより競争力のあるものにする可能性があると述べた。
仮想通貨的な要素の例として、ヤオ氏は、既存の仮想通貨で利用される公開鍵と秘密鍵のシステムのように、顧客と銀行の両方によって維持される二重鍵のメカニズムを利用した仮想通貨ウォレットを顧客口座に導入することなどを提案した。
また、ある程度の匿名性を保ち、中国人民銀行はよりプライベートな取引環境を提供してユーザーエクスペリエンスやプライバシー保護を強化するべきだとも主張している。CBDCは消費者間の取引においては匿名であるが、中央銀行による発行という点では透明性が不可欠だ。
現在、中国はさらなる内需を増やすために画策している。アリペイ(Alipay)や微信(WeChat)などの決済サービスに加えて、デジタル通貨の発行をするのは、より国際社会での競争力を上げることに繋がるだろう。通貨の暗号化が実施されれば、国民のプライバシーも保たれる。今後の展開にも注目していきたい。
【参照サイト】PBoC’s Yao: Chinese Digital Currency Should Be Crypto-Inspired
【参照サイト】Technical Consideration of Central Bank Digital Currency

HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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