「生物多様性ネットゲイン(純増)」と算出方法の標準化に向け、積水ハウスとシンク・ネイチャーが共同推進を開始

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積水ハウス株式会社は7月27日、「生物多様性の純増(生物多様性ネットゲイン)と算出方法の標準化」を目指し、沖縄県のスタートアップ企業株式会社シンク・ネイチャーと連携協定を締結したと発表した。生物多様性の損失を止め、回復傾向を目指す「ネイチャー・ポジティブ」を2030年に実現するという目標に向けて、積水ハウスの生物多様性の取り組みの実績と、シンク・ネイチャー社の生物多様性ビッグデータ、 人工知能(AI)を活用し、共同で推進する。

積水ハウスは生物多様性の保全・再生活動に注力しており、2001年から都市の住宅地に地域の在来樹種を中心に植栽し、緑のネットワークを作ることで、生物多様性保全・再生を推進する「5本の樹」計画に取り組んでいる。この効果を琉球大学理学部久保田研究室およびシンク・ネイチャー社と共同検証し、世界初の都市の生物多様性の定量評価の仕組みを「ネイチャー・ポジティブ方法論」として21年に公開している。

5本の樹計画は造園緑化事業として開始したプロジェクト。5本の樹には「3本は鳥のために、2本は蝶のために、地域の在来樹種を」という思いを込め、その地域の気候風土・鳥や蝶などと相性のよい在来樹種を中心とした植栽にこだわった庭づくり・まちづくりを提案している。21年度の年間の植栽本数は88.6万本、01年の事業開始からの累積植栽本数は1900万本(23年1月時点)を達成している。

シンク・ネイチャー社は、生物多様性科学において卓越した研究業績を有する研究者で構成されている大学発グリーンテック・スタートアップ。TNFDのデータカタリストイニシアティブに参画し、自然資本ビッグデータを活用した自然の持続的利用に関する分析、評価、 ソリューションを通して、金融機関・機関投資家・企業の生物多様性対応を支援している。

両社の協定にある「生物多様性ネットゲイン」とは、住宅地や開発地における生物多様性保全に留まらず、生物多様性の回復に向け生物多様性を増やすことを指す。取り組みとしては、生物多様性ネットゲインにつながる住宅建設に関する新たな商品・サービス、ビジネスモデル、その他の実現アイデアの創出および啓発活動を行う。例えば、今後の住宅建設予定地における植栽提案において、生物多様性ネットゲインを最大化できる植栽の樹種・本数のシミュレーション提案ツールの導入を、24年春に検討している。算出には、5本の樹計画やシンク・ネイチャーの生物多様性ビッグデータ、AIを活用する。

積水ハウスは「本取り組みを通して生物多様性回復のための数値的目標設定を行うことで、ESG経営のリーディングカンパニーを目指す」としている。

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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