サステナビリティソフトウェアソリューションプロバイダーのOne Click LCAは、ライフサイクルアセスメント(LCA)プラットフォームのSimaProとその開発企業であるPRé Sustainabilityを買収したと発表した。この買収により、企業が製品のカーボンフットプリントを評価・削減し、規制要件に対応するための統合ソリューションの提供を目指す。ESG投資専門メディアのESG Todayが9月2日付で報じた。
One Click LCAによると、高品質なサステナビリティデータへの需要が高まる中、製品固有のLCAデータへのアクセスと作成能力は、産業界がCO2換算排出量を削減し、EU建設製品規則、建築物のエネルギー性能指令、持続可能な製品のためのエコデザイン規則などの新規制に準拠する上で重要になっている。同社のパヌ・パサネンCEO兼創業者は「LCAの活用を拡大する上で極めて重要な転機となる。SimaProは30年にわたりLCAの透明性の基準を確立してきた一方、One Click LCAはLCAの拡張性、アクセス性、実用性の向上に注力してきた」と述べ、両社の統合により研究機関からグローバルサプライチェーンまで幅広く対応できるとした。
2021年設立のフィンランド拠点のOne Click LCAは、建設・製造業向けのAI搭載ソフトウェアプラットフォームを提供し、建物、インフラ、リノベーションプロジェクトや製品の環境影響を算出・削減するためのLCAおよび環境製品宣言(EPD)の自動生成を可能にしている。一方、1990年設立のオランダ拠点のSimaProとPRé Sustainabilityは、企業が環境影響を定量化、理解、削減するソリューションを提供してきた。SimaProの主要ソリューションには、LCA専門家向けの高度なモデリング機能を提供するSimaPro Craftと、データ統合と環境影響計算を大規模に実現するSimaPro Synergyがある。
買収により新たに統合されたプラットフォームは、建設、製造サプライチェーン、化学品などの分野にわたる50万以上のデータセットを保有し、170カ国以上でサービスを展開する。One Click LCAの自動化、拡張性、統合機能とSimaProの業界横断的なLCAモデリング、PRéの専門知識とコンサルティングサービスを組み合わせることで、「LCAとサステナビリティのワンストップショップ」を実現し、2035年までに100万ユーザーの獲得を目指す。両社は、統合ソリューションにより規制枠組みへの準拠がより迅速、容易、堅牢になるとともに、建設、製造、消費財、インフラなど各セクターに特化したソリューションも提供可能になるとしている。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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