香港金融管理局(HKMA)は9月8日、香港サステナブルファイナンス分類体系(Hong Kong Taxonomy)の第2A段階プロトタイプに関するパブリックコンサルテーションを開始した。10月8日まで意見を募集する。この分類体系は、グリーンファイナンスにおける情報に基づいた意思決定を促進する重要な市場ツールとして位置づけられている。
第2A段階のプロトタイプでは、対象セクターを従来の4セクターから6セクターに拡大し、製造業と情報通信技術を新たに追加した。また、経済活動の分類も12から25に増加させ、地域の脱炭素化に不可欠な分野をカバーする。さらに、移行要素として暫定的な脱炭素化目標、移行支援措置、サンセット条項(移行要素の終了時期を明示)を導入した点が特徴的だ。環境目標においても、極端な気象現象の頻度増加に対応するため、新たに「気候変動への適応」を追加している。
HKMAは2024年5月に公表した第1段階を基盤に、段階的なアプローチで分類体系の強化を進めている。今回の強化は、市場からのフィードバック、政府政策、産業界のニーズ、最新の技術進歩を踏まえて開発された。明確で透明性が高く、堅固な定義を提供することで、グリーンウォッシングへの懸念に対処しつつ、関連する資本フローの拡大を目指す。
香港は国際金融センターとして、またグリーンファイナンスの主要ハブとしての地位を強化しており、今回の分類体系の拡充は低炭素経済への移行を促進する重要な施策となる。アジア太平洋地域における持続可能な金融の標準化が進む中、香港の取り組みは地域全体の脱炭素化に向けた資金動員に大きな影響を与える可能性がある。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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