米環境保護庁(EPA)は9月16日、再生可能燃料基準(RFS)プログラムにおける2026年および2027年の再生可能燃料量要件(RVO)に関する補足規則案(SNPRM)を発表した。今回の提案は、8月22日に発表された小規模製油所免除(SRE)の決定を反映させるもので、バイオ燃料産業への影響を考慮した内容となっている。
EPAは、2023年から2025年のSRE決定による免除量を2026年と2027年のRVOにどう反映させるかについて、2つの選択肢を提示した。第1案は免除されたRVOの100%を追加量として計上する方法で、セルロース系バイオ燃料、バイオマス由来ディーゼル、先進バイオ燃料を含む総再生可能燃料量を、2026年に10億3,000万RIN、2027年に11億5,000万RINとする。第2案は50%を計上する方法で、それぞれ5億1,000万RIN、5億8,000万RINに設定される。
EPAは声明で、前政権下においてRFSプログラムの一部が軽視され、電気自動車充電支援への転用が進められたと批判するとともに、現政権下でプログラムの本来の目的である液体燃料市場におけるバイオ燃料支援を回復していく姿勢を強調した。EPAは「議会の指示に沿ってRFSプログラムを回復させ、米国産バイオ燃料を活用しながら、米国企業と農村経済に必要な確実性を提供する」と述べた。
8月22日に発表されたSRE決定では、2023年と2024年の遵守年度において相当量のガソリンとディーゼルが免除され、義務付けられた事業者が遵守のために使用できるRINの数が増加した。EPAは2025年の遵守年度についても追加免除が付与される可能性を見込んでおり、これらのRINが2026年と2027年のRVO遵守に利用されれば、再生可能燃料の需要に影響を与える可能性があると分析している。
今回の提案は、連邦官報への掲載後、公聴会と30日間のパブリックコメント期間が設けられる。EPAは、2026年と2027年のRVOを確立し、2023年から2025年のSREの再配分に対処する単一の最終規則を発行することの重要性を認識している。
RFSプログラムは2005年のエネルギー政策法により創設され、2007年のエネルギー独立・安全保障法で拡大された制度で、輸送用燃料への再生可能燃料の混合を義務付けている。小規模製油所免除は、経済的困難に直面する年間平均処理能力7万5000バレル/日以下の製油所に対して、RFS遵守義務の免除を認める制度である。
今回の補足規則案は、米国のエネルギー安全保障を強化し、農業セクターを支援するというEPAの方針を反映したものであり、最終規則の策定に向けて、産業界や農業団体、環境団体など幅広いステークホルダーからの意見が注目される。
【参照記事】EPA Proposes Renewable Fuel Standards Supplemental Rule, Addresses Small Refinery Exemptions

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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