CarbonmarkとEcoRegistryが統合、カーボンクレジット市場の透明性向上へ

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カーボンクレジット取引プラットフォームCarbonmarkは9月5日、環境資産の発行と監視を行うEcoRegistryとのサービス統合を発表した。この提携により、カーボンクレジット市場の透明性と効率性向上が期待される。

カーボンクレジット市場は近年急成長を遂げているが、その一方で透明性や信頼性の確保が大きな課題となっている。2023年1月には、英ガーディアン紙が世界最大のオフセット認証機関の一つVerra(ヴェラ)の発行した熱帯雨林保全によるカーボンクレジットの90%が「無価値」と報じ、市場の信頼性を大きく揺るがす事態となった。

今回の提携は、こうした課題に対する取り組みの一つとして注目される。主な特徴は以下の通りだ。

  1. EcoRegistry登録プロジェクトのクレジットがCarbonmarkで取引可能に
  2. クレジットのライフサイクル透明性向上、API経由の自動取引を実現
  3. 分散型台帳技術(DLT)活用で二重計上防止、追跡精度向上
  4. 森林保護や再生可能エネルギーなど、グローバル環境プロジェクトへのアクセス拡大

特に注目されるのは、分散型台帳技術(DLT)の活用だ。これにより、クレジットの二重計上を防止し、追跡精度を向上させることが可能となる。また、API経由の自動取引実現により、リアルタイムでの取引が可能となり、需給のマッチングが促進されることが期待される。

Carbonmarkのドリュー・ボヌール氏は「技術的に先進的なEcoRegistryとの統合を誇りに思う」とコメント。さらに、「ICROAが承認するCercarbono基準で認証されたプロジェクトに、両社の多様な顧客がアクセスできるようになる」と述べ、高品質なクレジットへのアクセス拡大にも言及した。一方、EcoRegistryのCEOであるフアン・デュラン氏は「市場は、供給と需要の間の障壁を取り除き、プロジェクト所有者に新たな機会と市場を生み出す意欲のある参加者を必要としている」と述べ、本提携の意義を強調した。

具体的なプロジェクトとしては、コロンビアの森林保護プロジェクト「ARLEQUÍN REDD+」や「Proyecto REDD+ PAZcífico Sur」が、この提携のもとで最初にリストアップされる予定だ。

カーボンクレジット市場をめぐっては、一部の企業がカーボンオフセットの利用を中止する動きも見られる。ネスレやケリングなどの大手企業は、カーボンオフセットの使用を止め、「カーボンニュートラル」表現の使用も取りやめている。これらの企業は、オフセットよりも実質的な排出削減に注力する方針を示している。

今回の提携が、カーボンクレジット市場の信頼性回復にどの程度寄与するかは未知数だ。しかし、透明性向上と技術革新により、より信頼性の高い市場の構築を目指す動きとして、今後の展開が注目される。

【参照記事】Carbonmark And EcoRegistry Announce Integration, Expanding Access To Impactful Projects

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