三菱商事、秋田・千葉の洋上風力3海域で開発中止 事業環境の悪化で計画困難に

※ このページには広告・PRが含まれています

三菱商事は8月27日、秋田県と千葉県の3海域で進めていた洋上風力発電事業の開発を中止すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ危機による事業環境の悪化を受け、実行可能な事業計画の策定が困難と判断した。対象は秋田県能代市・三種町・男鹿市沖、秋田県由利本荘市沖、千葉県銚子市沖の3海域で、同社は2021年12月に発電事業者として選定されていた。

開発中止の背景には、公募参画時の想定を大幅に上回る事業環境の変化がある。サプライチェーンのひっ迫、インフレの進行、円安、金利上昇など、洋上風力業界を取り巻く環境は世界的に厳しさを増している。同社は子会社の三菱商事洋上風力を代表企業とするコンソーシアムを通じて各海域にプロジェクト会社を設立し、コスト削減やスケジュール調整など様々な対策を検討してきたが、事業パートナーとの協議の結果、採算性の確保は困難との結論に至った。

日本の洋上風力発電事業は、2050年カーボンニュートラル実現に向けた重要な柱として位置付けられている。政府は2040年までに最大45ギガワットの導入目標を掲げ、2020年から公募による事業者選定を開始した。しかし、世界的な資材価格の高騰や建設コストの上昇により、欧州でも複数の大手企業が洋上風力プロジェクトの見直しや撤退を表明するなど、業界全体が逆風にさらされている。日本では2024年に入ってからも、複数の事業者が開発計画の見直しを迫られており、今回の三菱商事の決定は国内洋上風力産業の課題を浮き彫りにした形だ。

財務面への影響について同社は、本件に関する損失は過年度に大部分を計上済みであり、追加損失が生じても限定的になる見込みとしている。また、洋上風力を含む再生可能エネルギーは日本にとって重要な電源であるとの認識に変わりはないとし、事業環境を注視しながら脱炭素社会の実現に向けて引き続き取り組む方針を示した。今回の開発中止により、日本の洋上風力発電の導入ペースへの影響が懸念される中、政府による事業環境の改善策や支援制度の見直しが急務となっている。

【参照記事】国内洋上風力発電事業に係る事業性再評価の結果について

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 ESG・インパクト投資チームは、ESGやインパクト投資に関する最新の動向や先進的な事例、海外のニュース、より良い社会をつくる新しい投資の哲学や考え方などを発信しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」