インドの大手複合企業ラーセン・アンド・トゥブロ(L&T)は9月29日、英スタンダードチャータード銀行から7億ドルのサステナビリティ連動型貿易融資枠(SLTF)を確保したと発表した。同社は今年6月、インド証券取引委員会(SEBI)のESG債券フレームワークに基づき、インド初の上場サステナビリティ連動債を6,000万ドルで発行しており、今回の融資枠獲得により持続可能な事業ポートフォリオの拡大をさらに加速させる。
今回のSLTFは、温室効果ガス排出強度と淡水取水量といった同社の事業運営に重要な主要業績評価指標(KPI)と連動している。融資条件は、ローン市場協会のサステナビリティ連動ローン原則に準拠し、市場基準に沿った持続可能な資金調達を実現する。設定されたKPIと目標については、リスク管理と品質保証の国際的な独立専門機関であるDNVからセカンドパーティ・オピニオンを取得済みだ。
L&Tの広報担当者は「このSLTFの確保により、当社は持続可能なビジネス慣行の推進におけるリーダーシップを再確認している。2040年までのカーボンニュートラル、2035年までのウォーターニュートラルという長期目標は、イノベーション、運営効率、レジリエンスを支える戦略的必須事項だ」と述べた。同社は低炭素技術への投資、資源の最適化、生物多様性保全に注力し、強固なESGパフォーマンスによって投資家の信頼を高め、持続可能な資金調達へのアクセスを促進している。
サステナビリティ連動型融資は、企業の環境・社会目標の達成度に応じて金利などの条件が変動する仕組みで、世界的に急速に拡大している金融商品だ。日本でも三菱地所グループなど大手企業が同様の資金調達を活用し、脱炭素目標の達成に向けた取り組みを加速させている。インドでは政府が2070年までのネットゼロ達成を掲げており、産業界でもESG投資への関心が高まっている中、L&Tの今回の大規模な融資枠確保は、アジア地域における持続可能な金融市場の成熟を示す重要な事例となる。
【参照URL】L&T プレスリリース(2025年9月29日)

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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