ソニー、2030年までに温室効果ガス25%削減へ 新中期環境計画を発表

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ソニーグループは、2030年度までに温室効果ガス(GHG)排出量を25%以上削減する新たな中期環境計画「Green Management 2030(GM2030)」を策定したと発表した。事業活動による直接排出(スコープ1・2)を2025年度比で60%削減し、サプライチェーン全体の間接排出(スコープ3)を25%削減する。当初2050年度としていたバリューチェーン全体でのネットゼロ目標も、10年前倒しして2040年度に達成する計画だ。ESG関連の最新動向を発信する業界特化メディアESG Todayが9月2日付で報じた。

GM2030は2026年度から2030年度までの5年間を対象とする環境方針で、同社が掲げる「2050年度までに環境負荷ゼロ」を目指す長期ビジョン「Road to Zero」の重要な中間地点として位置づけられる。同社は5年ごとに環境負荷削減目標を設定しており、現行の2025年度目標については、事業所からのGHG排出量5%削減目標に対して5.3%削減を達成、再生可能エネルギー比率35%目標に対して40.1%を実現するなど、大半の目標を前倒しで達成する見込みだ。

新計画では、GHG削減に加えて資源循環の取り組みも強化する。製品における非循環プラスチックの使用を製品重量の30%以下に抑制し、小型製品ではプラスチック包装の使用率を10%以下に削減する。さらに、特定部品には再生錫(スズ)と再生金を100%使用するほか、製品のリサイクル性向上や長寿命化、部品再利用も推進する。自社の直営店舗からもプラスチック包装を段階的に廃止する方針だ。

エネルギー面では、2030年度までに全事業所で再生可能エネルギー100%の電力調達を目指し、主要サプライヤーにも同様の取り組みを促していく。同社はすでに再生可能エネルギー100%を推進する国際イニシアチブ「RE100」に加盟しており、今回のネットゼロ目標は科学的根拠に基づく目標設定を推進するSBTi(Science Based Targets initiative)からも承認を受けている。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言にも賛同し、気候変動リスクの開示を進めている。

電機業界では気候変動対策が競争力を左右する重要な経営課題となっており、日本企業の中でもソニーの取り組みは先進的だ。特に、スコープ3を含むバリューチェーン全体での削減目標設定と、ネットゼロ達成時期の10年前倒しは、グローバル市場での競争力維持と投資家からの評価向上につながると見られる。今後は、世界各地のサプライヤーとの連携強化と、革新的な環境技術の開発・導入が目標達成の鍵となるだろう。

【参照記事】Sony Sets Goal to Reduce Value Chain Emissions by 25% within 5 Years
【参照URL】Sony Sustainability Report 2025

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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