BMWグループは6月17日、再生可能な原材料から作られる天然繊維複合材を量産車に採用する準備が整ったと発表した。数年間の開発と研究を経て、亜麻(フラックス)ベースの軽量複合材が車両認証における屋根構造の厳格な要求にも対応できる量産成熟度に到達した。
同社はスイスのクリーンテック企業Bcomp社と数年にわたり協力して、この亜麻ベースの軽量部品を開発してきた。BMWのベンチャーキャピタル部門であるBMW i Venturesを通じてBcomp社に出資している。今回の技術により、次世代BMWグループ車両の屋根部分で炭素繊維複合材から天然繊維複合材への置き換えが可能となり、製造時のCO2換算排出量を約40%削減できるという。さらに廃棄時の環境負荷低減も期待される。
BMW M Motorsportは2019年のフォーミュラEシーズンから天然繊維複合材の強化部品を初めて採用し、その後BMW M4 DTMやM4 GT4でも炭素繊維プラスチック(CFRP)部品の代替として成功裏に使用してきた。2022年からはBcomp社がBMW M4 GT4の公式パートナーとなっている。
BMW M GmbHのCEOフランシスクス・ファン・ミール氏は「天然繊維複合材は、モータースポーツにおける革新的な軽量化ソリューションの重要な要素であり、製造プロセスにおけるCO2排出量削減を可能にする。これはBMW Mの『レース場で生まれ、街のために作られる』という理念を完璧に体現する革新技術だ」と述べた。
BMWグループは30か所以上の生産拠点と140か国以上の販売ネットワークを持ち、2024年には245万台以上の乗用車と21万台以上のオートバイを販売した。持続可能性は同社の企業戦略の重要な要素であり、サプライチェーンから生産、製品寿命まで全段階をカバーしている。今回の天然繊維複合材の量産化は、同社の脱炭素化目標達成に向けた重要な一歩となる。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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